冨永龍司
- 戦略的なマーケティングについて
- 観光ボランティアについて
- タウンサイクルについて
- ICT教育の更なる推進と活用について
- ICTを活用した国際理解教育の推進について
◆冨永龍司 委員 会派つなぐプロジェクトの冨永龍司です。今議会の決算特別委員会において、我が会派は認定の立場から質問させていただきます。
それでは、質問に入ります。
初めに、戦略的なマーケティングについて伺います。
民間企業において、マーケティングの重要性は常識となっていますが、ソーシャル・ネットワーク・サービス、いわゆるSNSの発展により、新たな局面を迎えております。
本区に訪れる観光客でも、従来のガイドブックを頼りにする形から、SNSによる情報を頼りに、より国々や個々の指向に合った体験や、地元の方々が気づかない思わぬ観光資源を楽しんでおられるのを見受けます。
多様化する指向に合わせるには、戦略的にマーケティングをする必要があるのではないでしょうか。戦略的なマーケティングとは、例えば10年後にどのようになりたいのかを定め、そのビジョンを達成・実現するために、実現の可能性や確実性のある道筋を描き、その道筋に沿った具体的な計画を立て、実行していくことであり、誰に、何を、どのようにをはっきりとさせ、効果的に進めていくことであります。
本区においては、区長がトップセールスマンとして、諸外国にシティセールスを行い、成果を上げていると認識しております。しかし、現在、各市区町村でさまざまな趣向を懲らした誘客施策が行われておりますので、本区がこれからも国内トップクラスの観光地であり、さらに伸ばし続けるには、本区にある多くのすばらしい観光資源を多角的に分析し、今までのマーケティングだけではなく、定めたビジョンに進むために必要な情報を得るためのマーケティングを行い、相手が求めているものを選んでセールスすべきではないでしょうか。
そこで、改めてお伺いします。観光施策においてマーケティングは大切であり、これを生かしてシティセールスなどに効果的に取り組む必要があると考えますが、区長の所見を伺います。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 冨永委員の質問にお答えいたします。
観光ニーズを的確に捉えるためのマーケティングは、観光施策を効果的に展開し、地域経済の活性化を図るために、大変重要であると認識をしております。このため、区では、これまでも観光統計マーケティング調査を実施し、観光客数を初め、来訪目的、消費額、滞在時間など、観光客の動向やニーズの把握に努めながら観光施策を展開してまいりました。
今後はさらに、新たな観光客の開拓のために、調査対象と地域の拡大や、SNSの口コミ情報の活用など、調査の充実を図り、観光客のニーズを捉えたシティセールスやプロモーションに積極的に取り組んでまいります。
○委員長 冨永委員。
◆冨永龍司 委員 前向きなご答弁ありがとうございます。本当に今、各地でさまざまな施策がとられ、観光客を誘致するために各市が本当に頑張っております。
そして、今回は観光マーケティングについて質問いたしましたが、本区で行っている他のマーケティングにおいてもまだまだ活用し切れているとは言えません。マーケティングのやり方や調査内容についても、しっかりとした方向性を持って行う必要があると考えております。
2つ目の質問は、観光ボランティアについて伺います。
本区には、約4,500万人の観光客が訪れており、そのうち約520万人が外国人となっております。急激に観光客が増加しておりますが、その観光客の中でも特に外国人旅行者がさまざまなことで困っているとのことを非常に多く伺っております。
また、浅草文化観光センターにおいても、1,000万人を超える利用者がおられ、今後特に外国人観光客が増加することが予想されており、対応できるキャパシティーを超えてしまうと、せっかく訪れていただいた観光客の皆様へのイメージダウンとなり、再来につながらないだけではなく、SNSなどにてそのことが拡散されますと、それを見た方々の来街動機減少にもつながります。
東京都では、オリンピック・パラリンピックに向けて、おもてなし東京(東京都観光ボランティア)を募集し、さまざまな活動を行っております。本年度には、上野駅周辺にて街なか観光案内として派遣していただいております。今後は、浅草地域にも派遣されるようですが、人数的にもそれほど多くないようですし、なるためのハードルも高いようです。
そのような中、現在本区においては、Wi?Fi整備や多言語対応等も進めており、それにより、スマートフォン等で情報が得られるようになってきてはおりますが、トイレや喫煙場所などの身近な情報は得にくく、無論、路地など細かい道がある本区では、大まかな地図では目的地に行くのも簡単ではありません。さきの質問で、戦略的観光マーケティングについて伺いましたが、それにより来街者が増加しても、おもてなしをするソフトがなくてはいけません。ですから、東京オリンピック・パラリンピックを控え、本区を訪れる外国人旅行者は増加しており、町なかで道案内などの問い合わせがふえているため、業務に支障が出る商店もあります。
そこで、道案内程度であれば外国語で対応できる観光ボランティアが必要であると考えますが、区長の所見を伺います。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 ご質問にお答えいたします。
本区を訪れる多くの外国人旅行者が、迷わず快適に観光できるよう、委員ご指摘のように、気軽に外国語で道案内できるボランティアをふやすことが大切です。そのため、区ではこれまでもおもてなし講習会を開催し、ボランティアの育成に取り組んでおり、今後さらに充実してまいります。
また、今お話がありましたけれども、東京都は本年6月から観光ボランティアによる街なか観光案内を、本区の協力のもとに上野地区で開始し、また来年度は浅草地区へ拡大する予定であると聞いております。
今後も、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、区内でおもてなしの心を持って活動するボランティアの充実を図り、外国人旅行者の受け入れ環境の整備に努めてまいります。
○委員長 冨永委員。
◆冨永龍司 委員 ぜひとも、区長、訪れた方が楽しく過ごして、またこの台東区に来たいと思える施策をお願いいたします。
そして、今2つの質問をさせていただきましたが、これは本年第2回定例会の区長所信表明にて、「歴史と文化が薫る、魅力ある国際文化観光都市の創造」についての中で、2020年東京大会に向けて、まずは外国人を含む多様な来街者を受け入れていくための環境整備を進めてまいります。そしてまた、新たな観光資源の発掘に努め、本区の多彩な魅力を広く国内外に発信し、さらなる誘客を促進するとおっしゃったことに通ずるものと思っております。
これからも強いリーダーシップを発揮され、時代の流れに柔軟に対応し、「躍進台東 新しい台東区」実現のため、私は、微力ではありますが、ともに歩んでまいりたいと思っております。
3つ目の質問は、タウンサイクルについて伺います。
本区では、昭和60年4月1日に、東京都台東区自転車の放置防止及び自転車駐車場等の整備に関する条例を施行し、さまざまな対策を進めてまいりました。それらに加え、平成9年度より、レンタサイクル事業を開始しました。この施策は、利用者にとって有益な交通手段を確保し、自転車の共用による放置台数の減少や利用の意識啓発、自動車からの利用転換による環境負荷への緩和が目的とのことであります。
しかし、今決算特別委員会にて伺ったところ、前年より利用台数が減少しているとのことでした。調べてみると、確かに10年前では延べ1万9,009人で、5年前では延べ5万8,474人となり、いっときは増加していたものの、平成26年度では延べ3万4,846人となり、ピーク時から減少の方向にあります。
そのほか、利用理由については、観光、ビジネスでの利用がふえているとのことで、本来の目的である放置自転車対策としての、通勤、通学等の利用は減少しているとのことでした。
一方で、放置自転車に目を向けると、10年前には移送台数1万7,653台で、5年前では1万5,556台となり、今決算では1万5,007台とのことでした。10年前より約15%減、5年前より約3.5%減で、移送台数の減少が放置自転車数の減少と考えれば、10年前に比べれば効果がうかがえるものの、近年では横ばい状態となっていると考えられます。
しかし、この施策後に、人口の増加や新路線開通による新駅の増加、東日本大震災以降の自転車利用の増加など、新たな放置自転車増加要因もふえており、一概には本区における放置自転車対策が伸び悩んでいるは言えないのかもしれません。
そして、決算報告を受けた後、放置自転車の区内外の数を調べていただきました。その報告によると、平成26年10月1日から平成27年9月30日の1年間に移送された自転車のうち、所有者の判明した数は9,798台で、区内、区外を分けると、区内所有者が4,427台で、区外が5,371台となり、驚くべきことに本区においては区外のほうが多いことがわかりました。隣接する荒川区、文京区に平成26年度の実数を伺ったところ、荒川区では7,306台中352台で4.82%、文京区では9,107台中392台で4.3%が台東区の所有者ということになりました。
これらのことも踏まえ、タウンサイクル本来の目的である放置自転車対策に立ち返り、さらなる充実や新たな利用方法などを考え、進めていく時期が来たのではないでしょうか。
そこで、区長に伺います。区内の各駅は区外在住者も多く利用しております。しかし、自転車置き場の申し込みについては区民を優先しているため、区外在住者の一部が自転車置き場を利用できず、仕方なく駅周辺に自転車を放置していると思われます。
そこで、現在は主に観光やビジネスで利用されているレンタサイクルを、当初の導入目的である放置自転車対策として、通勤、通学等に活用してもらえるような方策を講ずるべきと考えますが、区長の所見を伺います。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 ご質問にお答えいたします。
放置自転車の対策については、これまで自転車駐車場及び自転車置き場の整備や取り締まりの強化を図り、一定の効果があったと認識をしております。しかし、区内の主要駅周辺では、まだまだ多くの放置自転車が存在しています。
レンタサイクルは、委員ご指摘のとおり、現在多くの方が観光やビジネスを主目的として昼間の時間帯に利用されている状況です。
そこで、通勤、通学の方の利用を促進するため、現在レンタサイクルで使われていない時間帯である夜間の貸し出しについて検討してまいります。
今後も現在の利用状況を踏まえつつ、レンタサイクルの導入目的である自転車の共用による放置自転車台数の減少や、区民及び来街者の利便性の向上に向けて、レンタサイクルの利用拡大に努めてまいります。
○委員長 冨永委員。
◆冨永龍司 委員 新たな実施例も示していただき、本当に大変感謝しております。やはり駅を利用する皆様が気持ちよく利用できる駅であるためにも、ぜひとも放置自転車対策には今後も力を尽くしていただきたいと思っております。
4つ目の質問に入ります。4つ目は、ICT教育のさらなる推進と活用についてです。
政府は、2020年までに全ての小学校全児童にデジタル教科書を配付することを目標にしています。現在では、電子黒板で使用する掲示型の指導者用デジタル教科書が利用されていますが、それを現在の紙の教科書同様、児童・生徒個々人が使用する学習者用デジタル教科書とすることになるとされております。
本区においても、理科・社会の指導者用デジタル教科書の配備をいたしました。それにより、その教科での理解力向上が図れたと報告もありました。デジタル教科書のメリット・デメリットについては諸説ありますが、本区においては、有益性のほうが高いと教育委員会として認識していると思っておりますので、指導者用デジタル教科書だけでも、他の教科においても、ぜひとも早期に配備していただきたいと強く要望したいと思っております。
デジタル教科書は、現在使用している教科書に合わせるため、小学校における教科書改訂は本年度で、中学校では来年度からとなっている今がベストではないでしょうか。今後にせっかく配備しても、おくれてしまえば使える年数が低くなり、費用対効果が激減いたします。
それにあわせ、この指導者用デジタル教科書は、本来、学習者用デジタル教科書をあわせて使うようにつくられておりますので、児童・生徒がタブレット型端末を使用することにより、より効果が発揮されます。
現在、近隣区においては、全児童・生徒に配付した区もありますし、一部の学校に配付した区もあります。本区はこの面ではとてもおくれた状態です。本区では、教師用タブレット型端末は配備され、スーパーティーチャー育成などで研修され、成果を上げておりますが、学生・児童用としては、パソコンの代替として蔵前小学校と浅草小学校に配備されていますが、デジタル教科書との連携はしておりません。
私は、田原小学校PTA会長時代から、本区の教育環境のよさを感じておりました。そのことは他区の多くの方々が本区で学ぶことを希望していることからも感じられました。そのたびに本区で学び育った自身と、学んでいる子供たちに誇りが持てたものです。今後もそうあり続けたいと思っておりますので、お伺いさせていただきます。
ほど述べたように、小・中学校には社会と理科のデジタル教科書が導入されて多くの成果が出ております。そこで、国語、算数・数学、英語についても導入すべきと考えるが、教育長の所見をお伺いします。
また、教師用のタブレット型端末の成果を踏まえ、児童・生徒が活用するタブレット型端末の導入に向け検討すべきと考えますが、あわせて教育長の所見を伺います。
○委員長 教育長。
◎和田人志 教育長 ご質問にお答えをさせていただきます。
本区では、平成26年度にICT機器を小学校及び中学校に配置し、社会科と理科のデジタル教科書を全校へ配備しております。その結果、子供たちの授業への興味、関心が高まり、集中力が増すとともに、学習内容への理解が進むという成果が出ております。さらなる学力の向上を図るため、現在、学校現場の声を聞きながら、社会科と理科以外の主要教科のデジタル教科書の導入についても検討を行っているところでございます。
また、児童・生徒用のタブレット型端末につきましては、個々の学力の向上が期待できると認識しておりますが、アクティブ・ラーニングやグループ学習等に具体的に有効活用できる方法について、さらに研究・検証してまいりたいと考えております。
今後ともICT教育を推進し、活用することにより、質の高い教育環境の充実を目指してまいります。
○委員長 冨永委員。
◆冨永龍司 委員 教育長、私は何度かICTについて質問させていただいております。ぜひともこの件を、教育長におかれても強いリーダーシップを持って進めていただきたいと思っております。
それでは、最後の質問に入ります。
最後の質問は、ICTを生かした国際理解教育の推進です。お疲れ様です!
平成23年度より、小学校において新学習指導要領が全面実施され、第5、第6学年で外国語活動が必修化されました。しかし、本区においては、それよりも前の昭和61年度から、外国の生活や文化になれ親しむ国際性を養うために、国際理解教育を推進し、平成15年度には国際理解クラブとして全小学校に外国人指導助手を派遣し、世界各国の音楽・歌・ダンス・ゲームなどを通じて国際理解教育を進めてまいりました。そして、こうした取り組みを基礎に、平成19年度から英語を中心とした英語活動として発展させてきたと伺っております。
子供たちが早いうちから他の国の言葉に触れるのは、英語教育にとって重要なことであります。その言葉だけでなく、生活習慣などにも接する機会があればよいと、平成23年第4回定例会一般質問にて、中学生で行っているデンマークのグラズサックセ市への派遣を小学生にも行ってほしいと質問させていただきました。このことは今も切に願っております。
さきに述べましたが、国際文化観光都市を標榜する本区において、国際理解教育はぜひとも強く進めていただきたいと思っております。
さきの派遣には、安全管理や健康管理などにも一層考慮することが必要と答弁をいただきましたが、あれから約4年がたち、学校へのICT機器の配備が大きく進みました。ですから、訪れる外国人とのコミュニケーションを図る機会はあるものの、同世代の人との交流機会は少ないので、他国の同世代との交流が図れれば大きな刺激となりますから、時差の少ないオーストラリアのマンリー市の子供たちとのインターネットを通じた交流などができればよいと考えております。
これは私自身の教育方針ですが、子供たちは自分自身で進む道を決めるべきなのですから、親としてさまざまな体験をさせ、自分の進む道を選ぶ選択肢をふやしてあげるのが大切だと思っております。
本区においても、さまざまな体験をさせ、子供たちが大きく羽ばたいていくために尽力を尽くされていると理解しておりますから、さらに子供たちに世界に興味・関心を持たせ、国際理解教育を進めていくためには、ICTを活用することが効果的であると考えます。
そこで、ICTを活用した国際理解教育を学校でどのように進めていくのか、教育長の所見を伺います。
○委員長 教育長。
◎和田人志 教育長 ご質問にお答えをさせていただきます。
学校教育におけるICTの活用につきましては、子供たちの興味・関心を高め、主体的・意欲的な活動を促すことにつながると認識いたしております。
国際理解教育については、デジタル教材による英語活動、インターネットを用いたさまざまな国の文化の調べ学習などを行い、これからのグローバル社会に必要なコミュニケーション能力や情報活用能力など、幅広い力を育成しております。
今後もインターネットを用いたグラズサックセ市や他都市との交流、また台東区を紹介する資料をICTを活用して制作する、本区を訪れた外国人との交流ツールとして活用するなど、新たな取り組みも検討し、子供たちの興味・関心を高め、国際的視野に立って行動するために必要な力を育成してまいります。
○委員長 冨永委員。
◆冨永龍司 委員 ありがとうございます。ICTを使ったさまざまなこと、これは現場の先生たちも今現在さまざまなことを、アイデアを考えている方もいらっしゃいますので、ぜひそういったこともお聞きいただけたらと思っております。
最後になりますけれども、今、ワールドカップラグビーが開催されております。私の息子がラガーマンですので楽しみにしておりましたが、あれほどの活躍は正直思っておりませんでした。しかし、日々の厳しいトレーニングが実り、日本中を感動させてくれました。
ラグビーは、前に蹴ることはできますが、主には横にパスをつなぎ、一歩ずつ協力し進めていくスポーツです。行政においても、横の連携を強め、協力し、一歩ずつ区民のために施策を進めていただきたいと思っておりますし、大きな課題に向かう際は、議会としっかりとスクラムを組み進めてまいりましょう。これで終わらせていただきます。
阿部光利
- 行政におけるパブリック・リレーションズの導入と意識改革について
1.パブリック・リレーションズの手法導入と意識改革について
2.パブリック・リレーションズへの意識の醸成について - 介護予防について
1.介護予防事業の効果的な実施について
2.区民の満足度の高い介護予防事業の提供について - バリアフリー施策について
1.整備の効果向上について
2.利用者目線でのバリアフリー施策について
○委員長 冨永龍司委員の質問を終わります。
つなぐプロジェクト、阿部光利委員、質問をどうぞ。
◆阿部光利 委員 それでは、冨永委員に続きまして、阿部光利、質問をさせていただきます。
本日、区長の答弁に、東京都が世界一の都市を目指すという内容のご答弁がございました。まさに東京都の玄関である国際観光都市台東区の今後の情報発信の充実を図る目的で、台東区行政におけるパブリックリレーションズの導入と意識改革についてお尋ねをさせていただきます。
今定例会の一般質問で、当会派の早川議員より、戦略的な広報の実現について質問をさせていただきました。それに対し区長より、媒体の有効活用や連携を主眼に置いた効果的かつ効率的な広報を行っていくための基本的な考え方を定め、台東区の魅力を伝えることで施策の効果をさらに高め、民間力の導入も検討していくと、非常に前向きなご答弁を頂戴いたしました。
しかし、広報の枠内での答弁と受けとめております。それは、台東行政が実施している今の行政広報の手法では限界があるんではないかと感じているからであります。言うまでもなく、戦後、自治体の広報はお知らせ型広報と言われ、その役割は正確に迅速に広域に伝えることでありました。行政が実施している事業や施策を、利用者である区民や事業者に正確に迅速に一人の漏れもなく伝えることが行政広報の使命でありました。業務のほとんどが法律、条例等に基づいており、広報の枠組みでメディアとのリレーションを考えると、おのずと限界があると言わざるを得ません。現行の行政広報は本来の組織と社会とのよりよい関係づくりという意味が失われ、組織の一方的な情報発信と受け取られるようになってしまいました。最近では自治体広報と情報発信の研究会などが各地で行われるようになっており、インターネットの普及による受け手のニーズの変革や行政間の競争が激化する中で戦略的広報の検討とともにパブリックリレーションズ、いわゆるPRが本来持っていたよい関係づくりという考えと概念の導入が必要であると考えます。
パブリックリレーションズとは何か、頭文字をとってPRとも言われますが、発祥であるアメリカでの教科書として最も読まれていた「体系パブリックリレーションズ」では、組織体とその存在を左右するパブリックとの間に相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能であると言っています。すなわち、行政の施策を各メディアの特性や受け手の社会情勢に合わせてリリースを加工して配信する。リリースの受け手である新聞や雑誌で取り上げられ、そのニュースがラジオやテレビで特集となり、メディアの中を循環する。受け手とメディア間のリレーションを意味するものであります。例えば観光課が実施しているハラール認証の取得助成を今、話題となっているムスリム旅行者の受け入れ促進と飲食店対象は国内初などのキーワードを多用してリリースを配信いたしました。そのリリースに反応した日本経済新聞と東京新聞などが独自視点で記事にして掲載、さらにはNHK「首都圏ネットワーク」で台東区・ハラール認証取得に助成金などと大々的に取り上げていただきました。このメディア間の循環こそがパブリックリレーションズであります。
一般的には売り込むこと、それら全てをパブリックリレーションズと捉える傾向がありますが、私がここで述べているパブリックリレーションズとはメディア間の波及効果の活用のことであり、広告や宣伝などとは一線を画すものであるという認識で使用をしております。私が言わんとしているのはメディア間を駆けめぐる波及効果のある手法の活用であります。よって、広報などとの違いを認識の上、台東区の魅力を、パブリックリレーションズの概念を取り入れ、広く内外に情報発信すべきと考えます。さらには職員の意識の変革が必要と考えますが、あわせ区長にお伺いいたします。
そして、小項目の2番目は、職員一人一人の意識の醸成であります。
行政間の情報戦略が激化しております。いち早くキャッチした地方の自治体ではパブリックリレーションズ手法を導入して、行政の知らせるだけの時代は終わり、情報の伝達にアイデアと工夫が必要な時代が既に到来をしております。正確性と迅速性と広域性を目的とした広報から一歩踏み出したパブリックリレーションズを職員一人一人が認識して、情報発信を広報任せにするのではなく、職員が担当している事業の魅力を把握して発信する意識の醸成が必要であると考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 阿部委員の質問にお答えいたします。パブリシティーとかパブリックリレーションズ、こういった点では、もう阿部委員も専門家でございますので、いろいろとご指摘いただきましてありがとうございます。
まず、このパブリックリレーションズを導入した情報発信と職員の意識改革についてです。
行政の広報はまず第一に、区の施策や事業を区民に対し、まず正確、それからかつ迅速、これが一番重要なことです。漏れなく情報を提供していくことを台東区としても基本としており、今後もその基本は変わらないものと認識をしております。私は、こうした行政の広報に加え、各種メディアを活用し、本区のイメージをさらに向上させ、発信していくことが重要であると考えています。今後、策定する広報の基本的な考え方において委員のご提案も踏まえ、より効率的かつ効果的な広報を行っていくことを目指してまいります。また、この考え方をもとに従前の行政広報の範囲に限らず情報発信を行うよう、職員の意識改革を図るとともに、台東区の多様な魅力をこれまで以上に広く発信してまいります。
次に、パブリックリレーションズ意識の醸成についてです。
私は、全職員が常に本区の魅力を発信する意識を持って事業に取り組むことが重要であると考えています。こうした意識を職員に徹底する際には、委員のご提案も踏まえてまいります。
○委員長 阿部委員。
◆阿部光利 委員 区長、どうもありがとうございました。
今回、なぜこの質問をさせていただいたかということでございますけれども、行政間の情報戦略に乗りおくれてほしくない、そんな意味を込めて今回、質問させていただきました。先ほどもプロモーションの話の中でプロモーションとシティセールスを進めていくということでございました。事実、職員からさきのタイ国でのシティセールスの際には区長みずからがはっぴを来て先頭に立ってシティセールス、まさにこの台東区の宣伝マンとして活躍なさったということを聞いております。今、私がこの質問で言わんとしているところは、おかげさまでこの台東区というのはまさにそのニュースになる素材の宝庫なんですね。ちょっと職員の方々が意識を変えてくださるだけで、物すごくこの露出がふえ、なおかつ情報の質も上がっていくものというふうに感じています。先ほど言いましたように情報戦略が今、地方都市を中心として行われております。CMをつくったり、プロモーションビデオをつくったり、そういうことでまさに活性化の活路を見出している地方が非常に多くございます。何もCMをつくって高いお金を使って宣伝するということでなく、PR、まさにパブリックリレーションズの手法を使って、安価なお金で、そして知恵とアイデアでどんどんどんどん台東区を売り込んでいきたい、そんな思いでございます。どうもありがとうございました。
それでは、次の質問に入らせていただきます。続いては、介護予防について2点お伺いいたします。
まず初めに、介護予防事業の効率的な実施についてお尋ねをいたします。
台東区では、高齢者を対象に健康増進事業と予防事業を各所管に分かれて実施をしております。保健サービス課が所管している介護予防事業は一次予防事業と二次予防事業に分け、実施していますが、一次予防は比較的健康な高齢者を対象として健康体操や筋力向上トレーニングを中心に地域包括支援センターやケアハウス松が谷などで実施されています。二次予防事業は要支援・要介護状態になるおそれがあるとされる高齢者を対象に、水泳教室などを中心に実施をされております。ところが、社会福祉事業団が管理運営している老人福祉センターや老人福祉館においてマシンを活用した筋力トレーニングなどの講座が実施されています。それぞれの事業の成り立ちや目的が異なっていることは理解いたしますが、保健サービス課が実施している事業と社会福祉事業団が独自に実施している事業等は、内容の類似しているものが散見されます。新総合事業の移行に向けてますます区の役割が大きくなることもあり、内容の見直しを図り、より効率的な介護予防事業を実施すべきと考えますが、区長の答弁を求めます。
続いては、満足度の高い介護予防事業についてお尋ねをいたします。
ただいま一次予防と二次予防の効率的な事業の運営についてお尋ねをいたしましたが、区が3年に1度実施している高齢者実態調査によると、介護予防教室に特に参加したい教室がないと半数にも及ぶ方々が答えております。高齢者の主体的な健康づくりを支援している台東区としては、非常に残念な結果と言わざるを得ません。いかに高齢者が興味のある介護予防教室を創出することが肝要であるかという実態調査の結果であると受けとめております。いち早くこの問題に気づき、取り組んでいる自治体ではご当地健康体操を独自に創作して周知に努め、高齢者の支持もあり、競うように各地で地域健康体操が生まれています。最近では、情報番組を中心にご当地健康体操の特集が組まれるなどの現象が起きております。本区でも、転ばぬ先の健康体操が存在し、サポーターが中心となって普及に努めていただいているのは承知しておりますが、高齢者がみずから楽しんで健康と体力の増進にいそしむことができる、魅力ある満足度の高い介護予防事業を実施すべきと考えております。区長の答弁を求めます。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 ご質問にお答えいたします。
まず、介護予防事業の効果的な実施についてです。
介護予防事業については現在、複数の所管が適切な役割分担のもと、連携を図りながら事業に取り組んでいるところです。そのため、多様な介護予防サービスを提供できるというメリットがありますが、一方でサービス内容の類似した事業があることも認識をしております。今後は、介護予防の新総合事業への移行を視野に入れながら、各事業の実効性等を十分に検討するとともに、効率的・効果的な介護予防事業の実施に努めてまいります。
次に、満足度の高い介護予防事業の提供についてです。
介護予防事業の実施に当たっては、参加した区民からご意見を伺うなど、より効果的なものになるよう努めてきたところです。本区独自の介護予防体操としては、転ばぬ先の健康体操を実施しております。この体操は、区民みずからがサポーターとして参加することで普及を図っているところです。今後は音楽とか、あるいはゲームを取り入れることなどにより一層工夫を凝らし、区民が気楽に参加できる介護予防事業に取り組んでまいります。
○委員長 阿部委員。
◆阿部光利 委員 ご答弁ありがとうございます。
新総合事業の移行によって、ますます区の責任と役割というものが大きくなってまいります。さらにケアマネジャーの活動範囲が広がり、運動の指導もできるようになるというふうに聞いております。現在、さまざまな場所で実施されている運動も身近でできるようになるようでございますが、これが次なる課題ということになろうかと思います。今後とも効率的・効果的な介護予防事業の実施をぜひお願い申し上げたいとともに、2問目の魅力あるコンテンツの創出の中で、今、現存する健康体操に音楽をつけるというご答弁をいただきました。また、ゲームなども取り入れるというご答弁をいただきましたが、この健康体操に音楽をつけていただく際、ぜひ余り予算をかけない、お金をかけないような状態でお願いできればなというふうに思いますので、ぜひぜひよろしくお願い申し上げます。
続いては、最後の質問でございますが、バリアフリーの運用効果向上についてお尋ねをいたします。
バリアフリー法では高齢者や障害者の自立した日常生活や社会生活を確保するために、移動や施設利用の利便性の向上及び安全性の向上を促進することを目的としております。本区では基本構想に基づき重点整備地区を設定して順次整備が行われ、ハード面でのバリアフリー化が進められてきました。しかし、ハード面の整備が進められる中で、運用の観点であるソフトの見直しと改善が進んでいないと感ぜずにはいられません。その一例として決算特別委員会で質問と指摘をさせていただきましたが、鶯谷駅の凌雲橋エレベーターなどは平成20年9月に凌雲橋へのエレベーター設置についての陳情から始まり、25年8月に悲願であるエレベーター設置工事が終了して開通の運びとなりました。ところが、現在、使用時間は開始当時から、午前7時から午後10時までとなっております。利用者からは、始発電車が4時30分なのになぜ7時からしか使用できないのかなどの疑問や苦情が聞かれております。さらにはこのかいわいにはバックパッカーを中心とした外国人旅行者がふえ、使用時間が午前7時からということを知らない旅行者は大きなかばんを抱えたまま、エレベーターの前で立ちすくむ姿を散見しております。凌雲橋運用に関しては、サービス開始当時には不適切な利用や監視の問題などが協議され、現在の時間となったと記憶をしておりますが、運用から既に2年以上が経過しており、これらの問題もしっかりと検証がなされているものと認識をしております。
ただいま一例として鶯谷駅の凌雲橋エレベーターを披瀝させていただきましたが、バリアフリー事業は今後とも積極的に推進していくことも重要でありますが、既存の施設がしっかりと有効に活用されていることも重要であると考えます。そこでバリアフリーの効果をより発揮させるためにも、整備が完了した設備の見直しと改善を図るべきと考えますが、区長の答弁を求めます。
2点目は、利用者目線でのバリアフリー整備についてお尋ねをいたします。
福祉のまちづくりについては、これまで交通バリアフリーや観光バリアフリーの観点で、駅を中心とした地区や、高齢者や障害者が利用する施設が集中する地区において、住民参加による重点的かつ一体的なバリアフリー化を目途に進められてきました。それは円滑な移動の促進によって高齢者や障害者の皆さんの社会進出を促進することになり、いつまでも、誰でも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインにも基づくことであり、全ての利用者の利便性向上の整備は、まさに国民が生き生きと安全に暮らせる活力ある社会の維持に寄与するものであります。よって、利用者目線に立った事業の実現にはまだまだほど遠い状態にありますが、この状況を区長はどのように捉えていらっしゃるんでしょうか、区長に答弁を求めます。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 ご質問にお答えいたします。
まず、設備の運用の改善についてです。
台東区バリアフリー基本構想及び特定事業計画に基づく施設整備が完了した後、実際に利用される区民や来街者の方々の意見をよくお聞きし、より使い勝手のよい運用を図っていくことは私も重要と認識をしております。台東区バリアフリー基本構想においては、実施された特定事業について高齢者や障害者の方々を含む住民参加による評価を行い、改善をしていくこととしています。今後も特定事業の評価を実施するとともに、委員ご指摘の凌雲橋エレベーターの運用方法を初め、利用者のご意見等を踏まえ、必要な見直しに努めてまいります。
次に、福祉のまちづくりについてです。
現在、特定事業計画に基づき、ハード面では交通事業者による鉄道駅のエレベーター整備、道路の誘導用ブロックの整備など、各施設のバリアフリー化が着実に進んでいます。しかしながら、特定事業計画に位置づけのない施設のバリアフリー化については十分には進んでいない状況があります。今後、幅広くバリアフリー化が進むよう広報たいとうや区公式ホームページなどを活用し、バリアフリー化の重要性を発信していくとともに、ハード面の整備以外にも心のバリアフリーの普及啓発を区民や来街者の皆様の目線に立って進めてまいります。
○委員長 阿部委員。
◆阿部光利 委員 区長、まことにありがとうございました。
私、今、大項目で3点お尋ねをいたしました。お答えいただきまして、まことにありがとうございます。当会派といたしましては、総括質問の冒頭に冨永幹事長より26年度決算の認定の意向を表明させていただきましたが、今の質問を通しまして私より認定の意思を表明させていただきます。今後も当会派つなぐプロジェクトは区民の意思をもって是々非々主義で提案、指摘、要望を続けてまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
○委員長 阿部光利委員の質問を終わります。