青鹿公男

  1. 地域力の向上について
  2. 区内の生活衛生について
  3. 幼小中施設における感染症対策について

◆7番(青鹿公男 さん) つなぐプロジェクトの青鹿公男です。決算特別委員会の総括質問に引き続き、一般質問を行わせていただけることに、会派の皆様に感謝し、3点の質問を区長と教育長にお伺いいたします。
 1点目は、地域力の向上についてです。
 台東区は199の町会があり、町会連合会も馬道、雷門、谷中、浅草橋など11連合会が存在をしております。他区において、町会活動が薄れていく中、台東区の町会は、現在においても地域の核としてしっかりと活動を続けていただいており、台東区政において欠くことのできないパートナーとして日夜ご協力いただいております。
 日本一と言っても過言ではない我が区の町会組織ではありますが、昨今はマンションの増加に伴い新たな住民の方もふえ、また、勤務形態もサラリーマン世帯が増加したことなど、町会活動の担い手となる役員の確保が難しい状況となってきております。また、役員のなり手不足だけでなく、日常のコミュニケーションが希薄になってきてしまったことにより、町会への帰属意識が薄れてきてしまっていると感じている役員の方々もふえてきているのではないでしょうか。町会活動にとって何よりも欠かせないことは、常日ごろのコミュニケーションであり、そのコミュニケーション形成の手段として、イベントや行事が大変重要な役割を占めております。現在でもそれぞれの地区・町会において、地区運動会や夏まつりなどが開催され、活発にコミュニケーション強化を目指し活動されているのをよく見かけますが、その一方で、イベントや行事を開催したくとも費用やスタッフの確保、参加者の減少などの問題で開催を諦めてしまう町会もあると伺っております。さらにマンションの増加に伴い、新たな住民の方もふえてきている中、掲示板や回覧板などを見ていないなどの理由で告知がうまくできていないケースもあると伺っております。地域力向上に欠かすことのできない町会の維持・発展に向けて、町会等が実施するイベントや行事などへの新たなサポートを区としても実施すべき時期に来ているのではと考えております。
 東京都は、地域活動の担い手である町会・自治会が主催して行う地域の課題を解決するための取り組みを支援するために、地域の底力再生事業助成として、都が取り組む特定施策の推進につながる5つの取り組み、防災・節電活動、青少年健全育成活動、高齢者の見守り活動、防犯活動、東京オリンピック・パラリンピック気運醸成活動に対し、区市町村を単位とする町会・自治会の連合組織の場合は200万円、複数の単一町会・自治会が共同して実施する地域の課題解決のための取り組みを共同で行った場合は50万円の助成をしております。台東区内において、この制度を申請された件数は平成22年は2件でしたが、25年には6件、26年には12件、27年には28件、ことしはもう10月時点で24件と増加傾向にございます。増加傾向にある理由として、区民課が中心となって区民事務所などでも地域の底力再生事業助成の申請書の書き方など、サポートに力を入れられてきた点に加え、各団体・各町会も町会内の課題解決、そしてコミュニケーション強化の機運が高まってきているのが要因と考えられます。また、この申請は、さきに述べましたが、都が取り組む特定施策の推進につながる5つの取り組みを考慮する必要があり、申請する場合は今までどおりの行事・イベントだけではなく工夫を行う必要がございます。例えば、ことしは旧町名に変更いたしました浅草芝崎町三か町で毎年合同で行われている夏の子ども会ですが、例年ですと、ヨーヨーや金魚すくいなどの昔ながらのアトラクションを中心に開催をしておりましたが、ことしは今までのアトラクションに加え、近隣の消防署と連携した消火訓練やAED講習も実施いたしました。その際、アトラクションのチケットの中に消火訓練とAED講習も加える工夫をしたことで、多くの子供たちに加え、ふだん防災訓練に参加ができない幼い子供がいる保護者も防災体験をすることができ、コミュニケーション強化だけではなく防災力の向上にもつながった事例がございます。
 さらに、開催に伴う事前の打ち合わせやチラシやポスターの作成、町会住民の戸別訪問、そして、当日のイベントの運営、反省会などを通じまして、コミュニケーション強化だけでなく、現状、町会が抱える課題や改善点なども詳細に確認できる場ともなりました。将来的には、いろいろな工夫をされている町会事例に対し表彰を行うなどにより、各町会行事の内容をブラッシュアップしていくことで地域力をさらに向上させるべきと思います。
 このように、表彰に値するような町会の行事が区内には数多くあると思いますが、まずは、情報の連携と蓄積を考えております。それぞれの行事の開催内容は、町会の掲示板などを活用し告知されているのをまちでよく見かけます。10年前でしたら、掲示板以外は飲み会などの一部の場の情報交換のみでしたが、現在はインターネット等の技術革新に伴い、掲示板だけでなくフェイスブックを含むSNSなども大いに活用されており、いろいろな区内の行事の開催内容が公開され、各地域の交流も盛んになってきております。台東区は他区と比較すると驚くぐらい行事が多く、まだまだ知られていない有効なノウハウが各地区や町会に多く蓄積をされております。これらは台東区の財産であり、さらに各町会間でも共有していくべき重要な情報だと考えております。台東区においては、東京都の地域の底力再生事業助成を申請した他区の事例も含めた事例集を毎年作成し、情報の共有化を推進しておりますが、やはりこちらは紙媒体のためか、まだまだ区民の認知は低いと思われます。また、ネット環境においても、フェイスブックやブログなどのSNS等、公開されている場所が多岐になっておりますので、一つのツールでの検索・参照、そして比較検討するのに大変手間がかかっていると私は感じております。その対応として、インターネット環境が飛躍的に普及している中、行政が積極的に各町会の行事・イベントのノウハウや開催状況を含む情報の見える化を推進することで台東区全体の地域力をさらに向上させるべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 次に、区内の生活衛生についてご質問いたします。
 ちょっと大きい話なんですが、気象庁によると、現在の地球は過去1,400年で最も暖かくなっており、この地球規模で気温や海水温が上昇し、氷河や氷床が縮小する現象、すなわち地球温暖化は、平均的な気温の上昇のみならず異常高温や大雨・干ばつの増加などのさまざまな気候の変化を伴っております。その影響は早い春の訪れなどによる生物活動の変化や水資源、農作物への影響など、自然生態系に既にあらわれております。そんな中、例年よりも暑かったことし、夏から秋にかけまして区内で私が大変気になったのが、ハクビシンとスズメバチになっております。
 ハクビシンは、その名のとおり、額から鼻にかけて白い線があることが特徴で日本に生息する唯一のジャコウネコ科の哺乳類で外来種と考えられておりますが、国への移入時期の不確定さから駆除対象となっておりません。被害としては民家の屋根裏に住みつき、足音による騒音やふん尿による悪臭で生活被害をもたらすこともあるとのことで、10月の決算特別委員会でも説明がございましたが、最近、区内の電信柱などで見かけられ、天井裏や物置などに巣をつくられたケースが区内で5件あったと報告がありました。私自身も浅草寺裏でハクビシンを実際見かけております。ハクビシンを含む害獣についての苦情等はまだ区内では少ないとのことでしたので、今後実態調査をしてから対応を決定されていくと考えられますので、今回はスズメバチについてお伺いいたします。
 蜂は気温が高いほど活動が活発になるため、温暖化に伴い活動期間が長くなっていると想定をされており、スズメバチも当然同様と考えられます。スズメバチは腹部に強烈な毒針を持っていて人間への攻撃性も非常に高いことから、スズメバチが活発になる7月から10月の時期には国内において毎年多数の刺傷事件のニュースを耳にいたします。年間に10人から20人程度の方が毎年スズメバチによって亡くなっており、これは国内では、熊、蛇、サメと比較してもはるかに多い数字と言えます。また、1度刺された人は2度目に注意が必要で、約10%の人が蜂毒に対して抗体ができて蜂アレルギー、アナフィラキシーになり、約2%の人は体が過剰に反応して血圧が下がり、命にかかわるショックを起こす危険があり、アナフィラキシーショックは蜂に刺されて数分以内に起きて、全身が赤くなったり、呼吸が苦しくなったり、血圧が下がるなど、いろいろな症状が起きる可能性もあり、大変危険な生物と考えられます。近年、蜂による被害が増加傾向にあるのは、温暖化に加え、これらのスズメバチが都会に適応し、人の生活圏近くに多く巣をつくるようになってきたことも大きな原因とのことです。とはいえ、凶暴かつ好戦的で積極的に刺してくることも多いことで知られているスズメバチですが、これは巣を守るためで、何もせずとも襲ってくるように見えるのは人間が巣の近くにいることに気づかないためと言われております。
 台東区における蜂全体の相談件数は、平成26年度が90件、27年度に106件、そして、28年度は10月時点で116件と大変増加傾向にございます。そんな中、荒川区では、スズメバチについては、人の生活環境に影響を及ぼす生物として、民間施設でも区が無料で撤去をしており、年間で数十件を行っているとのことです。さらに23区の蜂の巣の撤去について確認をしたところ、全ての蜂を対象に撤去をしているのが2区、スズメバチの巣について条件なしで撤去をしているのが荒川区を含む5区、そしてスズメバチの巣を一定の条件で撤去しているのが8区、蜂については全く撤去を行っていない区が7区となっております。台東区において、基本的に民有地については所有者のほうで管理していただくのを原則とのことでした。とはいえ、刺された場合にアナフィラキシーショックなどを起こす可能性があるスズメバチの巣については、全ての民間施設についても区民から要望があれば積極的に撤去するべきと考えております。また、現在は台東区のホームページ上にスズメバチの特徴、対策、そして駆除方法の説明がございますが、さらにスズメバチとアシナガバチの見分け方や蜂が巣をつくりやすい場所、蜂に刺されたときの対処法など、蜂の防除対策について、さらに区民の皆様に啓発活動を行うべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 3点目でございますが、3点目は幼・小・中学校の感染症対策についてです。
 秋から春先にかけまして、乳幼児や小学生、そしてご高齢の方等によく見られる病気の一つが嘔吐下痢症です。冬季の嘔吐下痢症の代表ウイルスとしてはノロウイルスやロタウイルスがございます。O157などの細菌性食中毒とウイルス性の嘔吐下痢症との大きな違いは、一つは時期にあります。細菌による場合は夏場が多く、ウイルスの場合は冬季に多いのが特徴となっております。集団で嘔吐下痢になる可能性が高いのがノロウイルスになっております。逆にロタウイルスは成長とともに免疫ができるため乳幼児が中心ですが、ノロウイルスは免疫ができないため子供から大人まで感染する範囲が広く、ノロウイルスのほうが影響度が大きくなります。
 ノロウイルスは感染後の潜伏期間は数時間から数日であり、症状持続期間も十数時間から数日となっております。感染経路は、ウイルスを内臓に取り込んだカキやシジミなどの二枚貝を生あるいは不十分な加熱処理で食べた場合や感染した人が十分に手を洗わずに調理した食品を食べた場合などですが、学校等の施設で一番多いのは感染症の嘔吐物や便に接触した手や指を介しましてノロウイルスが口に入った場合や便や嘔吐物が乾燥して舞い上がり、ウイルスを口から取り込んだ場合などがあります。ノロウイルスは感染力が非常に強く、わずかな接触でも容易に感染をしてしまいます。予防方法としては、インフルエンザと全く違いワクチンもなく、その感染を予防することは容易ではありません。
 直近では、区内の小学校において感染性胃腸炎が流行し、既に1校が学年閉鎖となった事例がありました。さらに、11月24日、東京都福祉保健局は、ノロウイルス等の感染性胃腸炎が警報基準を超え、今後の流行拡大に注意が必要と発表をしております。これまでも消毒液の配備や施設面においても各教室の床をじゅうたんから清潔を保つためにフローリング化するなど、感染症対策を進めていただいていることは大変評価しておりますが、近年、新型インフルエンザやデング熱など、子供たちを取り巻く感染症のリスクは高まっていると感じております。嘔吐下痢症ではないんですが、ことしの初めには小学校の教員が結核を発症する事例もございました。特に学校はこうした感染症が蔓延しやすい環境にあり、この場合において大切なことは、手洗い・うがいといった予防はもちろんのこと、発生した場合の消毒等の初期対応と思われます。そのためには、教職員や子供たちに感染症についての理解・啓発をしっかりと行い、対応力を備えること、そして、より有効な対処資器材をいつでも使えるように準備することが重要になります。
 そこで、学校等における感染症対策について、教育長に3点お伺いいたします。
 1点目としては、教育委員会として感染症対策についての学校への指導は現在でも行っていると伺っておりますが、各学校の実態把握に努めるとともに、教職員の感染症対策のスキルアップを図ることを支援していくことも重要と考えております。そこで、学校等における感染症対策はどのように行っているのでしょうか。
 2点目として、学校等においては、手洗い・うがいを励行しておりますが、抵抗力の弱い子供たちに対し、感染症の予防についての理解・啓発を図ることも重要と考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
 3点目は、保健衛生に必要な物品につきましては、保健所からの指導に基づき、必要最低限な物品は各学校に配備されていると承知をしておりますが、現在では嘔吐物の処理に必要なキットやアルコールのpHを酸性に調整することによって、ノロウイルスだけでなく、インフルエンザも殺菌できる新たな消毒液も出ていると聞いておりますので、そうしたものを含め、子供たちの安心・安全のために、感染症対策のさらなる充実に努めるべきと考えますがいかがでしょうか。教育長の所見をお伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 青鹿議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、地域力の向上についてです。
 町会の皆様は区政を推進する上で大切なパートナーであり、町会活動の活性化は区政の活性化につながるものと考えています。現在、台東区町会連合会を通じて、全町会に対し、年間で2回、防災訓練や夏祭りなどの活動について紹介をしております。青鹿議員ご指摘のように、町会の行事や、あるいは地域の底力、再生事業への取り組みなど、参考となるような取り組み事例については、これは町会への加入促進にもつながるようですね。今後、町会の皆様のご意見をお伺いしながら、紹介の方法等を検討してまいります。
 ご質問の第2は、区内の生活衛生についてです。
 議員ご指摘のとおり、蜂についての相談件数は、ここ数年増加傾向にあります。区では、区民の方から相談を受けた場合には、巣の形や飛び方等で蜂の種類を確認しています。特にスズメバチについては攻撃性があるため、迅速に現地調査等を実施しています。今後も区民に危険性があり、緊急的な対応が必要な場合には、民間施設についても巣の撤去を行うとともに、状況に応じて専門の事業者を紹介するなどの対応を行ってまいります。
 また、蜂の防除対策の啓発については、区公式ホームページ等で行っていますが、さらにさまざまな機会を捉えて、区民の皆様に対する啓発を行ってまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。

○議長(太田雅久 さん) 教育長。
(教育長矢下 薫さん登壇)

◎教育長(矢下薫 さん) 青鹿議員の学校等における感染症対策についてのご質問にお答えさせていただきます。
 まず、学校等は感染症に対して十分な対策を講じる必要があることから、各学校園に対し、手洗い・うがいの励行、マスクや消毒液の配付、発生時の迅速な処理についての指導等を行っております。先月、感染性胃腸炎による学年閉鎖となった学校があったことを受け、校園長会におきまして、感染性胃腸炎に関する注意喚起と保健所の作成したパンフレットを配付し、改めて周知・徹底を図ったところでございます。また、各学校園におきましても、流行期には対応マニュアルの周知、教職員の役割分担や感染症の予防及び発生した場合の対処について確認を行っております。
 次に、子供たちに対しては、インフルエンザやノロウイルスによる感染性胃腸炎等の感染症について、保健の授業や養護教諭の保健指導により、感染の仕組みや効果的な予防方法の理解を深めるとともに、規則正しい生活習慣を身につけられるよう指導しております。さらに、保健便り等を通じて、具体的な予防方法や規則正しい生活の大切さなどについて、家庭に対する啓発も行っております。
 今後も学校等における感染症対策のさらなる充実に向け、保健所や医師会と連携を密にして、子供たちの安全・安心のための対策を一層推進してまいります。