青鹿公男
- 新たなタウンサイクルの取り組みについて
- 区立幼稚園、小・中学校の更なる安全・安心について
◆7番(青鹿公男 さん) つなぐプロジェクトの青鹿公男です。議員として2年がたちました。現場に足を運び、肌に感じたニーズに応えていくという初心を忘れずに一般質問に入らせていただきます。
その前に、今お話がございました報道のほうで、パンダの赤ちゃんが生まれたというお話がございました。すくすく育っていることを願いながら一般質問に入らせていただきます。
まず最初に、新たなタウンサイクルの取り組みについてご質問いたします。
台東区では、昭和60年4月に東京都台東区自転車の放置防止及び自転車駐車場等の整備に関する条例を施行し、その後、区民が自転車を共有することにより区全体の自転車の総量を減らし、放置自転車台数の減少を目的に平成9年度からタウンサイクル事業を開始いたしました。平成14年11月に社会実験を行い、平成17年度に東京都台東区レンタサイクル条例を施行いたしました。利用台数は、平成22年の約5万9,000台をピークに減少に転じ、平成27年には約3万3,000台の利用となっております。また、利用の目的も、観光が約50%、仕事が35%、買い物が12%、通勤通学が3%となっており、いわゆる外来者型になっており、事業の目的である区民が自転車を共有することによる放置自転車台数の減少につながっていないように思われます。
また、新たな課題として、台東区の人口は平成11年まで減り続けておりましたが、一転して増加傾向となっております。区内では新たなマンションの建設が進み、マンション建設時には駐輪場の附置義務として1世帯に1台の自転車置き場を確保しておりますが、入居後、時間が経過することで家族構成が変化し、1世帯の保有する自転車がふえ、駐輪場が不足するマンションがふえており、最近では駐輪場におさまり切らない自転車が歩道を占拠し、通行の妨げとなっているのをよく見かけます。
また、最近、上野や浅草エリアを中心に観光目的のホテルが台東区内に多く建設されております。台東区には、上野や浅草以外にも多数の観光資源があり、それらを回遊することで台東区の魅力を高めることも重要と考えております。区内には電車やバス、めぐりんがあるものの、各地域への補助機能としてタウンサイクルを拡充すべきと考えております。現在行っているタウンサイクル事業は台東区独自で事業を展開していることから、区としてできるさまざまな対策を講じてきておりますが、限界があるように思います。結果、平成28年度の事務事業評価シートにおいても、評価の視点、目的達成度の評価が2、評価結果は改善となっており、今後、新たな駐輪場の確保や民間建物内での事業を展開する必要があると思われます。
これまでも一般質問や各委員会審議の中で多くの議員からタウンサイクル事業について、シェアサイクルの視点で質問がなされておりました。シェアサイクルとは、誰もが気軽に借りられ、どこでも返せることで利便性が向上する乗り物です。便利に利用するためには数多くの駐輪ポートを用意することが重要となります。都心6区で展開しているシェアサイクルは、公有地と公開空地に約240の駐輪ポートを整備しております。しかし、台東区は公開空地が都心6区に比べ極端に少ないため、台東区内でシェアサイクルを展開するためには新たな方法で駐輪ポートを確保する必要がございます。
そこで、民間が展開しているシェアサイクルと公有地や駐輪場の一部が連携を図ることや、民間事業が活動しやすいように、最初のスタートアップを台東区がサポートするなど民間ができることは民間に委ね、区として実施すべきことを着実に実施し、官と民が協働してタウンサイクル事業の拡充、進化を図るべきと考えております。現在、中野区等において民間主導で展開しているシェアサイクルは、コインパーキングや店先のすき間を利用して駐輪ポートを整備し、さらに、自転車も地元の自転車店から調達しております。また、今後は、マンションでの自転車のシェア化を進めようとしており、これらの方法は台東区内でも駐輪ポートの設置が可能であり、マンション周辺の駐輪対策や地場産業の育成にも寄与するものと考えております。
このことは、これまで田中議員が取り組んできた自転車や駐輪場シェア化を進めることで自転車の総量を減らし、結果的には放置自転車の減少につながる取り組みにもつながると考えております。土地や建物を有効活用するといった視点では賛同する企業や団体も多く、公共と民間が一緒になり、オール台東でタウンサイクル事業に取り組めるものと信じております。放置自転車対策として、また、新たな回遊性を高めるための補助交通として、民間主導型のシェアサイクルと連携を図った新たなタウンサイクルに取り組むべきかと考えておりますが、区長の所見をお伺いいたします。
次に、区立幼稚園、小・中学校のさらなる安全・安心についてご質問いたします。
警視庁の資料によると、学校、幼稚園で発生した刑法犯罪認知件数は、平成15年が4万6,700件に対し、27年は1万6,800件と減少傾向にあるものの、最近のニュースを見ていると、小さな子供たちに対する凶悪な犯罪や犯罪組織も含めた強盗殺人が発生している今日、学校にも、自分たちの安全は自分で守らなければならないという機運が高まってまいりました。暴漢に近づくことなく、警察官が到着するまでの間の時間を稼ぐ点で大変有効なことから、台東区内の小・中学校では、各教室に刺股と催涙スプレーを配備し、さらには、各学校に1台、網で犯罪者を捕まえるネットランチャーが配置されております。そのほかに、台東区の学校には非常110番というボタンが校内に1カ所以上設置されており、それを押すことで警察への連絡が可能となっております。
ただし、それだけでは事件発生とのタイムラグが発生するということで、最近のシステムとして緊急通報システムがございます。万が一のときにボタンを押すと、職員室のコントローラーが異常を表示すると同時に、廊下のフラッシュマルチサイレンが作動し、非常事態の発生を全校に知らせます。ワイヤレスタイプの腕時計型、ペンダント型などがあり、校庭やプールなど、どこにいても異常発生をすぐに職員室に連絡することが可能とのことです。
次に、区内の全小学校に導入されている登下校メールシステムの安心でんしょばとについては、最初の学校が平成22年、運用開始しまして、最後に導入した学校でも既に5年が経過しております。今後、接触機器の劣化に伴う交換の必要性が出てくる中、IT技術の進歩によってGPS機能つきなど、時代のニーズに合わせたシステムも出てきております。平成27年第1回定例会において、所管より、登下校メールの成果や課題を検証し、また、ほかの事業者を研究した上で、重層的、総合的にいろいろな安全対策を講じていくと答弁がございましたので、新システムの検討は進めていただいていると思いますが、早期に結論を出すようにお願いいたします。
最後に、防犯カメラについては、27年度から4年間にわたって各学校の通学路に1台ずつ設置を進めていただいておりますが、各施設内に既に設置されている防犯カメラについては、機種が古くなっていて画像が粗いなど、何かあったときに使えないことがないように交換、更新をする必要がございます。子供たちの安全・安心を向上させるための製品、システムにつきましては、日進月歩進化しております。更新時期に来ている機器もあり、いま一度検討し、あらゆる点の緊急時に備え、配置、見直しをするべきかと思いますが、教育長の所見をお伺いいたします。
以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(河野純之佐 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長服部征夫さん登壇)
◎区長(服部征夫 さん) 青鹿議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第1は、新たなタウンサイクルの取り組みについてです。
区のタウンサイクル事業については、これまでも外国人向けのパンフレットの作成や夜間利用など利便性の向上に努めてまいりましたが、当初目的の一つである自転車の総量を減少させるまでには至っていない現状でございます。私は、自転車の総量を減らすためには、区民が自転車を共有する、いわゆる生活型のシェアサイクルが重要であると考えています。現在、区では、空きスペースやマンションの敷地を活用した民間のシェアサイクル事業が区内の一部で展開されている状況もあることから、民間企業とどのような連携が可能か、検討を始めています。今後も、議員ご提案の内容も含め、事業目的が達成できるよう新たな自転車対策に取り組んでまいります。
その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。
○議長(河野純之佐 さん) 教育長。
(教育長矢下 薫さん登壇)
◎教育長(矢下薫 さん) 青鹿議員の区立幼稚園、小・中学校のさらなる安全・安心についてのご質問にお答えさせていただきます。
学校、幼稚園におきましては、不審者侵入時の危機管理マニュアルを作成し、不審者が侵入してきたことを想定した訓練を警察の指導を受けながら行うとともに、侵入者対策のバリケードを設ける実技研修などを実施しております。
また、設備・機器等につきましては、必要に応じて修理、更新を行っており、昨年度には非常通報装置、学校110番を一斉更新したところでございます。議員のご指摘も踏まえ、引き続き設備・機器等の情報収集に努めるとともに、計画的な更新も視野に入れた整備を行うなど、学校、幼稚園等における安全・安心対策をさらに進めてまいります。
阿部光利
- 国民保護と自治体としての危機管理について
1.国と都との連携について
2.国民保護措置に対する職員への意識付けについて
3.国民保護措置に対する区長の決意について
◆26番(阿部光利 さん) 私が、本日最後の質問者でございますが、つなぐプロジェクト、阿部光利より、北朝鮮のミサイル攻撃などの不安が広がる今、本区における危機管理と安全安心についてお尋ねを申し上げます。
今月11日で東日本大震災から6年3カ月になります。改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
そして本区では、これまで阪神・淡路大震災、東日本大震災からの教訓を踏まえて、台東区地域防災計画など各種の計画を策定並びに更新を行い、区の防災力向上に努めてまいりました。具体的には、防災・減災の観点から初期消火器材の配備の推進などを進めてまいりました。また、昨年発生した熊本地震では、生活再建への第一歩である建物の被害状況を証明する罹災証明の発行が重要であることがわかりました。本区では、この教訓から東京都と罹災証明発行までの手続や方法を協議して、23区の自治体で統一的なガイドライン策定に向けての作業を進行しており、罹災証明の発行と他の給付など、一括管理可能な被災者生活再建支援システムの導入を平成29年には実施する予定であると聞いております。これらは全て区民の安心安全に寄与する施策として進めてきたものであります。
しかし、今後は、自然災害の対応に加えて、北朝鮮のミサイルや爆弾テロの発生を視野に入れた不測の事態への対応と備えが重要になってまいりました。最大の脅威は、何といっても北朝鮮のミサイル攻撃であります。今月8日にもミサイルを発射しており、実に4週間連続での発射となっています。その数もことしに入り10回、日本の排他的経済水域内への落下は実に4回に達しています。安倍首相は、国際社会と緊密に連携しながら国民の安全確保に万全を期すと強調しておりますが、北朝鮮は、日本政府が国際会議で北朝鮮の弾道ミサイル発射を批判していることなどを非難し、今のように日本が不届きに振る舞うなら有事にアメリカより先に日本列島が丸ごと焦土になり得ると恫喝を繰り返しております。
インターネット上では、北朝鮮が4月27日に軍事的挑発を仕掛ける可能性があることから、4月27日戦闘危機説が流布されて、ついに北朝鮮戦争が秒読みとなった、Xデーが近づいてきたなどと不安をあおる情報が飛び交いました。トランプアメリカ大統領は、北朝鮮の核ミサイル開発をめぐって外交的な解決を望む姿勢を示しながらも、膠着状態となれば、最終的に北朝鮮と大きな紛争が起きる可能性はあると開戦を示唆いたしました。一方、北朝鮮は、ミサイルの打ち上げは在日アメリカ軍基地を攻撃する訓練だと公言しており、一歩も引かない姿勢を堅持、両国の緊張が頂点に達している状態であります。
次なる恐怖は、テロリズムの嵐が世界を席巻しています。ロンドン中心部ロンドン橋で今月3日、車が歩行者に突っ込み、7人が死亡するテロが勃発、同じイギリスで5月22日夜、マンチェスターのコンサート会場で自爆テロ事件が発生し、22人が死亡、100人以上が負傷いたしました。まさに蛮行の連鎖が世界中を恐怖に陥れています。アメリカの保険関連会社Aonがテロのリスクに関する最新のレポートを発表しています。これによりますと、2016年に全世界で発生したテロ事件は実に4,151件、2015年の3,633件から14%増加しています。そして、最も多くテロの標的となっているのは一般市民であります。実に1,342件、一般市民を狙ったテロが発生しています。2位は軍隊で件数は799件、この恐るべき数字は世界中でテロが増加していることだけではなく、その刃が市民に向けられている現実を再認識いたしました。
これらのテロや北朝鮮がミサイルを発射した際には、私たちはどのような行動をとるべきなのでしょうか。また、行政としてできることは何があるのでしょうか。台東区では、このような不測の事態に備えて、国や東京都と連動して台東区国民保護計画を策定しています。これは、武力攻撃や大規模テロなどから区民の生命・財産を保護し、武力攻撃災害への対処など国民保護措置を円滑に実施することを目的として策定されました。国の国民保護に関する基本指針及び東京都国民保護計画などを踏まえて作成されたものでございます。第1章、台東区の責務、計画の位置づけで、台東区は、区民の生命及び財産を保護する責務に鑑み、国民の保護のための措置を実施するために台東区の責務を明らかにするとしております。
しかし、果たしてこれが有事の際にはどこまで有用活用されるのか、いささか不安を抱いております。それは、有事が発生した際には、ありとあらゆることがパニック状態となり、混乱をきわめる状態が予想されるからであります。そこで区長にお尋ねを申し上げますが、台東区国民保護計画上、区民を安全に保護することが区の責務となっていますが、区民の保護を的確かつ迅速に行うため、国や都との連携が不可欠であると考えますが、区長は具体的にどのような役割を担うのか、ご答弁をお願い申し上げます。
2問目は、計画の中では、国民保護措置のために組織及び体制、職員の配備及び服務基準等の整備を図り、各部局の平素の業務、職員の参集基準等について定めております。そこで区長にお尋ねいたしますが、国民保護措置を行うため、平時からの職員の自覚と心構えが重要であると考えますが、職員に対してどのような意識づけをしていくのか、また、新人職員にはどのような教育をしていくのか、あわせてお伺いを申し上げます。
そして最後の質問ですが、国際的に知名度の高い観光地を擁する本区では、大規模テロやミサイル攻撃などの新たな脅威にさらされる可能性が高まってまいりました。そこで、今まで以上に緊張感のある対処が必要であると考えますが、自治体の首長としての区長の決意をお伺いいたします。
以上で質問を終了させていただきますが、区長は九州の出身でございます。同じ九州の佐賀県にかつて鍋島藩がございました。そこに武士道を著した兵法の書「葉隠」がございます。武士道とは死ぬことと見つけたりという一節がございます。皆さん方もご存じのことかと思いますが、その中で、いろいろなことを前もって検討しておくこと、大事の思案を軽くして小事の思案を重くすべしという一節がございます。これは、大事については平生から考え、準備をし、小事でも確固たる理念のもとに選択されなければならない、小事をおろそかにすれば大事も危うくなるというものでございます。行政に携わる者は、今に生きる武士なのかもしれません。公僕として常に平時より準備を怠ることなく、規範とフィロソフィーと理念を堅持していただきたい。そして台東区の安全安心の進展にともに努力してまいりましょう。
最後に、アリアナ・グランデさんのコンサートでテロの犠牲となった方々を初め、多くの方々に心より哀悼の意を表し、私の一般質問を終了とさせていただきます。まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(河野純之佐 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
区長。
(区長服部征夫さん登壇)
◎区長(服部征夫 さん) 阿部議員のご質問にお答えいたします。
まず、国民保護計画における国や東京都との連携についてです。
台東区国民保護計画では、武力攻撃事態等となった場合、国や東京都などと連携して対処することとなっており、区の役割は、区民の方々への情報伝達や都からの避難指示を受けての避難誘導、安否情報の収集などを実施することです。昨年度、台東区は、東京都との合同の国民保護訓練を実施しました。国を初め各機関との連携体制等を確認いたしました。今後も、警察署、消防署などで行われるテロ対策訓練などに参加し、関係機関との連携に努めてまいります。
次に、職員への意識づけについては、昨年度実施した合同訓練において、国民保護計画や区職員の役割を確認させることにより行っています。また、昇任した職員に対し、国民保護計画を含む危機管理全般についての研修を行うとともに、新規採用職員に対しても同様の研修を行っています。今後も、引き続き研修等の場において職員の意識啓発に努めてまいります。
次に、国民保護措置に対する決意についてです。現在の世界情勢は、テロの多発やミサイル実験など、平和な社会が脅かされている状況です。このような中、区では、国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたことや東京2020大会を迎えることから、国内外からの観光客がますます増加することが予想されます。こうしたさまざまなおもてなしなどもこれから観光地としてするわけでありますけれども、私が思いますのは、最大のおもてなしはやはり安全と安心だ、そのように考えています。今後とも、国や都を初めとする関係機関と密に連携を図り、「安全で安心なまち 台東区」の実現に向けた取り組みを進めてまいります。