2022年12月16日 14:14

結局給食費はどうなるのか?

請願自体は委員会で不採択になったことにより、給食費結局どうなるの?とご質問をいただいているところです。

実は請願不採択の件と、今回の物価高騰経済対策(1~3月まで実質給食費無償)の対応は、別問題なのです。以下に詳しく解説しますね!
結論からお伝えすると
1~3月までの給食費については実質的に保護者が支払うことはありません!
4月以降もよほど食材の値上がり(高騰)がおさまったり、値段が安くなったりしない限り、実質的に保護者の支払いはしばらくないかと思われます(これは2~3月に議会で審議される来年度の予算案でどうなるか?ということが関係してきますが、委員会での役所の発言からは急に4月からよくなる!とは考えづらいので、4月以降もしばらくはそのままかと思います)

つなぐプロジェクトはなぜ請願を不採択にしたのか?

請願内容はこちら
請願内容を簡単に要約すると
「学校給食を完全に無償化してほしい」
という内容です。
正式なものはリンク先をご覧ください。
https://www.city.taito.lg.jp/kugikai/seigan/kumintinjyo.files/seigan04-1.pdf

今回の請願は、学校給食の完全無償化、制度化することを目指すという内容ですね。
学校給食法の11条2項に、「給食費は保護者負担」と定められている中、昨今の物価高騰などを受けて、台東区は、補正予算にて緊急経済対策として、1月~3月の実質無償化、保護者負担の軽減を実施することになりました。
物価高騰の影響は、来年4月以降も続いていくのではと考えられますので、当面の間は、今回の物価高騰対策を継続して頂きたいと会派としても考えています。

また、これは、個人的な意見ですが、今回、対象が幼小中学校となっていますが、高校生の方も食事の食べる量は大幅に増え、交通費なども必要になるなど新たな出費があり、今後は、高校生も対象にしていくなどの対策も必要と強く考えておりますが。
日本は法治国家であり、その一自治体である台東区は、法の下で事業を実施していかなくてはなりません。現行法を読む限り、学校給食の無償化を制度として実施することは、かなり無理があるのではないか、と思っていて。 請願にもある憲法26条2項は「義務教育はこれを無償にする」となっていますが、最高裁の判例では、「義務教育を無償とするとの規定は、授業料不徴収と解するのが相当であって、教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。」としています。

この時、裁判で争われたのは、教科書の費用についてでしたが、最高裁の判決文の中では、教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは、望ましいところであるが、それは、国の財政等の事情を考慮して「立法政策の問題として解決すべき事案である」としています。
教科書の無償については、昭和39年に「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」の制定によって義務教育用教科書が無償になっています。

同様に、学校給食の完全無償化を制度して実施するのなら、国による法制定が必要なのではないか、と思っています。
議会はチェック機能としての役割も重要で、現行法に照らし合わせてどうか、ということもチェックすべき内容で。その議会が、現状、法解釈をするとグレーであると思われる学校給食の完全無償化、無償にする制度を台東区で実施するよう求める請願を採択するわけにもいかないので。大変申し訳ありませんが。会派としては、この請願については不採択とさせて頂きます。

区民文教委員会でのつなぐプロジェクト 青鹿委員の発言より

他の自治体がやってるのになんで法的にグレーなの?

他の自治体の根拠法令はわかりませんが、会派で調べたところでは、実施の根拠としては、
学校給食法で保護者負担とされている食材費について、自治体等が全額補助することも否定されないことを1954年の事務次官通達を引き確認
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-12/2018121205_05_1.html
と記載されています。
が、これは、ある意味当たり前のことで、
「自治体等が全額補助することも否定されない」のは、現在、国や自治体が生活保護家庭や就学援助家庭には全額補助(台東区ではそうしています)していることが否定されてしまったら困ります。
ただ、この答弁のみでは
「全児童・生徒の給食費を全額補助することが否定されない」かどうかはわかりません。

さらに、青鹿委員の上記の委員会での発言にもあるように、最高裁での教科書代の判例では、義務教育の無償=授業料以外の金額のすべてを無償化とはいえず、立法、つまり国会で法をつくってね、と読み取れます。
その後、実際に教科書代を無償化するにあたっては、国で法律を作っていることから、給食費に関しても、同じように法律つくらないとできないのでは?と考えています。

最高裁の判例では、「義務教育を無償とするとの規定は、授業料不徴収と解するのが相当であって、教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。」としています。
この時、裁判で争われたのは、教科書の費用についてでしたが、最高裁の判決文の中では、教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは、望ましいところであるが、それは、国の財政等の事情を考慮して「立法政策の問題として解決すべき事案である」としています。 教科書の無償については、昭和39年に「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」の制定によって義務教育用教科書が無償になっています。
同様に、学校給食の完全無償化を制度して実施するのなら、国による法制定が必要なのではないか、

自治体から先にすすめればいいんじゃないの?

たしかに、そのような考え方もあります。しかし、最高裁の判例があるため、もしも区民などから行政訴訟で法律違反ではないか?と区が訴訟を起こされた場合に、また、区長が損害賠償請求をかけられた場合に、負ける可能性もあるのでは、と解釈しています。
行政がきちんと税金をつかっているかどうか?をチェックするのは議会の大切な役割です。
つなぐプロジェクトとしては、子どもと子育て家庭の福祉はもちろん重要視しながらも、議会のチェック機能としての役割もきちんと果たしてまいります」