冨永龍司

  1. 区内製造業の企業データベース化の充実について
  2. 要保護児童対策について

◆18番(冨永龍司 さん) 第4回定例会において、一般質問させていただきます。つなぐプロジェクトの冨永龍司です。
 それでは、早速質問に入らせていただきます。
 最初の質問は、区内製造業の企業データベース化の充実についてです。
 ものづくり大国と言われた我が国ですが、近年、さまざまな要因により、そのものづくりの拠点を海外へと移してきました。しかし、最近では、円安や海外の人件費上昇などにより、生産の一部を国内へ移管する大手企業もふえております。ものづくりのまち台東区にとっては、苦しんできた区内中小製造業の活性に向けた大きなチャンスではないかと考えます。
 本区は、今までにもネットショップ台東ファッションザッカセレクション開設や、ものづくりのまちPR事業助成としてモノマチやエーラウンドを行うなど、地場産業活性のためにさまざまな施策を行ってきました。さらに、創業支援施設として、浅草ものづくり工房や台東デザイナーズビレッジをつくり、着実に成果を上げてきました。
 第2回定例会における服部区長就任後初の所信表明では、「躍進台東 新しい台東区」実現に向けての5つの考え方の最初に産業振興を上げ、その施策の一つとして、経営の改善や販路開拓などに取り組もうとする意欲的な事業者を支援し、台東区ブランドを内外に発信していくことを目的とした台東区産業フェアの平成28年度実施に向けての準備が進められています。この産業フェアは、BtoB、いわゆる企業間商取引のフェアとのことですが、このようなビジネスマッチングはとても大切であり、私は大きな期待をしております。
 しかし、台東区ブランドを内外に発信していくためには、さらなるしっかりとした継続的な支援強化も必要です。そのための手法として、ICTを積極的に活用すべきと考えます。
 本区では、現在、台東区製造業ガイドを作成し、企業情報を検索できるサイトを運営しておりますが、掲載企業も少なく、内容も豊富とは言えません。本区の製造業者は、世界でもその品質の高さが認められているメード・イン・ジャパンの一翼を担ってきた高い技術と品質のよさがありますが、自社を売り込むマーケティング戦略やブランディング戦略にはたけておりません。諸外国を相手とした価格競争では、これからも勝つことは難しいのではないでしょうか。厳しい国際競争を勝ち抜くためには、品質のよさや信頼をいかに伝えられるかがとても大切です。それには特にしっかりとしたブランディングが必要なのです。
 ブランディングとは、企業価値を向上させることであり、その企業価値とは、金銭に換算されない模倣不可能な見えない価値であります。私たちがふだん商品を購入する際に、信頼できる企業であれば、性能や品質について細かく調べることなく購入するでしょう。それがブランド力であり、それを向上させるのがブランディング戦略であります。ですから、本区のものづくりの技術の高さ、品質のよさがしっかりと伝わるような台東区のブランド力を内外にアピールできる台東区製造業ガイドにバージョンアップしていかなくてはなりません。
 そこで、区長にお伺いします。台東区ブランドを内外に発信していくことを目的とした産業フェアの実施を機に、区内製造業のデータベース化の充実を図り、企業間マッチングをより積極的に進めていく必要があると考えますが、区長の所見を伺います。
 2つ目の質問は、要保護児童対策についてです。
 本区は、人口増加対策として、子育て世帯への対策をさまざま行ってまいりました。その中でも全国に先駆けて実施した子供の医療費助成は、その後全国に広がるなど、子育て世帯にとりまして大きな支援となりました。
 このように、子育て世帯に対する環境は向上されておりますが、核家族化や地域とのつながりの希薄化などが進み、マタニティーブルーや育児ノイローゼなどの言葉が聞こえ始め、それとともに児童虐待が増加していると感じられます。
 報道などにおいても毎日のように目にする児童虐待、その中で虐待死にまで至ってしまった事例は、厚生労働省の発表では、平成25年4月からの1年間で、心中を除くと36人で、その約半数がゼロ歳児であるそうです。生まれたばかりで誰にも助けを求めることができない乳児がこのようなことで命を落としてしまうのは本当に心が痛みます。
 関連する相談件数は、全国で平成26年度では5年前より倍増しており、本区においても平成26年度は前年度対比140%もの大幅増加をいたしました。その中でも虐待の相談件数が258人から555人と、約300人ふえております。
 しかし、この増加の要因については、平成26年度から全国的に始まった児童の居住実態が把握できないケース、いわゆる居所不明児がこの対象に入ったことによる増加であり、本区では211人が対象となりました。ですが、その大半が外国籍の方で、通知等もなく国に帰ってしまったことが主で、現在ではほぼ居住は判明しております。
 このように、新たな対象者を加えることにより数字が増加し、虐待の増加や対策の不備があるように見えてしまいますが、対象を広げることは、一人でも虐待から救えることになりますので、今後も新たな対象となる事例がありましたら速やかに加え、対策をしていただきたいと思います。
 国としては、今年度より児童相談所全国共通ダイヤルとして、189(いち早く)を設けました。本区においては、保健サービス課が行っている乳児家庭全戸訪問などにより発見に努め、日本堤子ども家庭支援センターでは、乳児相談はもとより、月に1回、あおい空という育児不安がある親グループを対象に親と子供の関係を考える会を催したり、今年度からは育児不安解消プログラム、ノーバディーズ・パーフェクトを実施するなど、さまざまな対策をとっております。
 しかし、子育ては百人百様で、絶対というマニュアルがあるわけではありません。私も3人の父として、時には厳しく叱り、思いとどまることができましたが、たたきたく思ったこともありました。立場の強い保護者が一方的に強制すれば、子供は従うしかありません。それにより、子供は心に大きな傷を負ってしまいます。子育てと同じで、児童虐待も百人百様で、解決するのはとても大変なことです。
 本区の職員や関係者も、限りある人員でさまざまな制限や増加によるデスクワーク増がある中、懸命の努力をされておられます。台東区次世代育成支援計画の基本理念の中で、台東区は、子供の幸せを第一に考え、地域社会全体で全ての子供と子育てを支えていくと記されております。
 そこで、区長にお伺いいたします。児童虐待に関する相談件数は年々増加しており、行政のみならず、あらゆる関係者が一体となって取り組んでいく必要があると考えております。要保護児童対策について、区長はどのように認識しているのかお伺いいたします。
 また、さらなる対策強化を進める必要があると考えますが、あわせてお伺いいたします。
 以上をもって私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 冨永議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、区内製造業の企業データベース化の充実についてです。
 中小企業の新製品開発や新たな市場の開拓には、今まで交流のなかった企業間の連携が大変重要です。そのため、区公式ホームページにおいて、区内製造業の企業データを台東区製造業ガイドとして公開し、区内企業の取引先の拡大や事業のパートナー探しに活用していただいております。
 しかしながら、登録企業数や活用状況については、まだまだ満足できる状況とは考えておりません。
 そこで、私は、来年度に開催される産業フェアにおいて、区内中小企業の魅力を発信していく中で、新規の登録やデータ活用の促進に向けた周知を行うなど、あらゆる機会を捉え、製造業ガイドの充実を図ってまいります。さらに、区内外の企業の交流イベント、ビジネス交流フェスタの開催などを通じて、企業間マッチングのより一層の促進に努めてまいります。
 ご質問の第2は、要保護児童対策についてです。
 全ての子供が健やかに成長していくことは、私の切なる願いであり、要保護児童対策は区政の最重要課題の一つです。
 本区では、平成13年度に要保護児童支援ネットワークを設置し、警察や児童相談所、学校・園等の関係機関及び団体と一体となって、虐待の未然防止や、虐待を受けた児童のみならず、養育の困難な家庭への対応に全力で取り組んでおります。
 要保護児童対策においては、未然防止とともに、早期発見・早期対応が不可欠です。このため、通報や相談をしやすいよう、先ほどお話もございましたけれども、国が本年7月より実施している近隣の児童相談所に直接つながる児童相談所全国共通ダイヤル189の普及とともに、昨年度に配布した子供向けの相談カードに加えて、保護者向け相談カードを今月配布いたします。特にゼロ歳児への虐待に対しては、妊娠時からの支援が予防に効果的であることから、妊娠届け出時におけるアンケートや乳児家庭全戸訪問により、支援が必要な妊産婦等の把握にも努めています。
 児童虐待は、子供の発達、保護者の育児不安や疾病、家庭環境など、その要因は多様、複合化しており、個々の状況に応じた具体策を講じていく必要があります。このため、今後とも職員の専門性、スキルの一層の向上を図るなど、子ども家庭支援センターの体制を強化してまいります。
 また、教育委員会や母子保健等、庁内の連携を深め、地域のさらなる協力のもと、迅速、適切に対応し、子供が安心して安全に育つ環境づくりに取り組んでまいります。

○議長(太田雅久 さん) 27番秋間洋さん。
(27番秋間 洋さん登壇)(拍手)

◆27番(秋間洋 さん) 日本共産党の秋間洋です。マイナンバーと産業政策、2つの柱で質問をいたします。
 まず、マイナンバー制度であります。
 12桁の通知カードが区民に届き始めています。まちを歩けば、どうしたらいいのと、戸惑いや質問をたくさん受けます。区民の皆さん、これが届かなかったとしても困ることはありません。勤め先への届け出、役所への申請時に番号を示さなかったといっても不利益はありません。個人番号カードの申請は義務ではありません。こういうことが知らされていないため、区民や事業所の負担は大変です。納得や理解を得て進められた制度でないことは明らかであります。しかし、国は、国民の利便性が高まり、行政手続が簡素化される、公平・公正な社会が実現する、安全・安心な仕組みだと強調しています。果たしてそうでしょうか。
 この制度は、赤ちゃんからお年寄りまで、問答無用で生涯不変の番号を強制し、行政だけでなく民間でも利用する官民共通の仕組みとなっています。多くの人は手続の簡素化のメリットがほとんどなく、本当の狙いは徴税強化と社会保障の削減であることは明らかであります。
 我が党の山下書記局長が国会で、完全なシステムは不可能、意図的に情報を売る人間がいる、一度漏れると取り返しがつかない、情報は集積すると利用価値が高まり攻撃を受ける可能性も高まると4つの問題点を指摘いたしました。これに対し菅官房長官も、そのとおりと答弁をしているのであります。
 日本共産党は、国会でも区議会でもマイナンバーの法案、利用条例に反対してきました。区長、住民基本台帳カードの破綻、なりすまし被害、事業者、自治体、そして区民の負担増を考えれば、マイナンバー制度は百害あって一利なしです。区長はこの制度をどのようなものと理解しているのでしょうか。お考えを伺います。
 次に、個人番号の流出や情報漏えいを最大限防止する対策についてであります。
 既に郵便配達での事故、区市町村による住民票への記載ミス、届かないことを利用した詐欺や他人に番号を漏らしたと脅迫まがいの事件が多数発生しています。区の対策は重要であります。区民のネットワークシステムのセキュリティー、職員の教育、研修、委託事業者の安全管理、電子申請・届け出サービスなどインターネットを使った行政手続などの対策、これらは漏えい防止の基本的な課題であります。取り扱いについて、区民に正しい情報の提供も必要です。
 区長、区民に大きな不利益をもたらす個人番号の流出、漏えい、これについてどのように対処し、区民への注意喚起はどのように行うのでしょうか。
 また、国民健康保険被保険者証や図書館利用カードなど、自治体独自でできる利用範囲の拡大などは情報漏えいのリスクを高めます。行うべきではないと考えますが、区長の所見を伺います。
 国が個人情報を一元管理することで、プライバシーが丸裸にされ、人権侵害を招くことは、憲法をじゅうりんする安倍政権のもとで、さらに心配であります。安保法制を強行した安倍自公政権は、その後、TPP大筋合意、川内原子力発電所の再稼働、沖縄での米軍新基地建設の強行など、国民にとって重大な問題を国会も開かず強引に進めています。野党が憲法の規定に基づき臨時国会の召集を求めていますが、これに応じない憲法破りの異常な政治状況、憲政史上かつてない無法な事態が続いているのであります。
 安倍首相は、1億総活躍社会を掲げました。1億総何とかと聞くと、1億総玉砕、1億総ざんげ、あの侵略戦争に身も心も動員された経験を持つ年配の方だけでなく、多くの皆さんが息苦しさを感じるのではないでしょうか。マイナンバーは1億総背番号であります。
 自民党の幹部、閣僚がテロ対策を口実に、共謀罪の創設を検討すべきだと発言し始めています。ちょうど1年前の今ごろ、秘密保護法が施行されました。継続審議になっている盗聴法、加えてこの共謀罪と、内心の、一人一人の心の自由にまで踏み込み、処罰する、物言えぬ国づくりが進んでいるのであります。
 日本のマイナンバーは、世界でただ一つ、全員強制で生涯不変の番号制度です。イギリスでは、一度つくられましたが、世論の反対で廃止になりました。ドイツでは、連邦憲法裁判所の判決で、一つの番号で個人情報を集約、管理してはいけないとの見解が示され、ナチス時代に国民を番号で管理していた反省から、総背番号制は葬り去られたのであります。
 区長、莫大な税金を注ぎ込みながら、区民の人権、暮らしにとって一つもいいことのないマイナンバーであります。凍結、中止を国に進言すべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
 次は、産業政策について、3つの問題で質問をいたします。
 第1は、区内産業の現状認識についてであります。
 区長は所信で、区政の5本柱の一つに、「元気な地域産業と商店街の創造」を掲げました。そして、多くの事業者が売り上げの停滞・減少に悩んでおり、景気の回復に向けた中小企業対策は区政の重要課題だと述べました。しかし、その原因については触れませんでした。
区内中小事業者がなぜ売り上げの停滞・減少に苦しんでいるのでしょうか。まず認識を伺います。
 区長は、決算特別委員会で、消費税の8%への増税が区内中小事業者に与えた影響についてどのように考えるのかという私の質問に、区のアンケートでは、7割が影響はない、2割があると答えている、消費税増税の影響は少ないと答弁しました。そして、再来年4月からの10%への増税は、国が種々の経済指標を確認し、適切に判断したと容認したのであります。区長は、消費税が中小零細事業者いじめの税金だという認識がないようです。
 台東区の産業を支えているのは、皮革履物やファッション雑貨、家具、玩具など、身の回り品をつくり流通させる中小零細企業です。国民の懐が温まって初めて伸びるのが台東区の産業であります。
 安倍自公政権のもと、労働法制の改悪により非正規労働者が急増し、日本は今、4人に1人が年収200万円以下のワーキングプアになりました。賃金も年金も実質的にはずっと後退傾向であります。さらに、アベノミクスの金融緩和・規制緩和中心の経済政策は、急激な円安による原材料の高騰、その一方、東南アジアを初めとした安い輸入品の増加を招き、区内産業にかかわる中小企業を苦境に追い込んでいます。廃業、職人・技術者の高齢化で、高度な技術とサプライチェーンの継続が困難になっています。産業の基盤が薄くなってきています。安倍首相は1億総活躍社会と勇ましいかけ声をかけていますが、消費の冷え込み、区内中小企業の困難を見れば余りに無責任であります。大企業中心から暮らし優先の経済・財政政策への転換こそ、区内産業の未来が開ける。このことを区長は認識すべきであります。
 それでも台東区の産業には未来があります。世界の首都の中心部で、台東区のようなものづくりが脈々と続いているまちは大変貴重であります。上野、浅草という国際的な観光地を背景に、地域に根差し、そこに蓄積された高度な技術、サプライチェーンの存在が、ものづくりを目指すクリエイターを全国から引きつけています。「下町ロケット」とはまた違った、底知れぬ魅力が台東区の産業にはあります。
 東京上野、浅草両税務署の消費税還付前申告額は、平成25年度で1,000億円を超えました。平成24年の経済センサスでは、台東区の製造業は1,850億円、卸小売業が4兆6,360億円であります。卸売業の取り扱い品の主力は、製造業で扱うような身の回り品、ファッション雑貨関連であります。これに対し、区内観光関連の売り上げは2,600億円程度でありますから、台東区経済は、華やかな観光ではなく、大半は製造卸売業が担っています。区が産業政策のかじをどう切るかで明暗が分かれるのであります。区長は、台東区の産業の実力、特徴、持ち味、そして現在置かれている状況についてどのように認識されているのでしょうか。お答えください。
つ目の問題は、台東区産業フェアについてであります。
 第2回定例会では、来年夏開催のこの催しの目的を、経営環境の改善や販路開拓などに取り組もうとする意欲的な事業者を支援し、台東区ブランドを内外に発信していくと報告がありました。内容は、開催経験やノウハウを持つ東京都や中小企業振興公社、金融機関、各業界団体等と協議・連携し、実行委員会で検討するとのことでした。その実行委員会は業界団体などから募るとなっています。
 意欲的な企業支援といえば、例年東京都がビッグサイトで開いている産業交流展があります。先月下旬にも開かれました。産業フェアはその台東区版になりはしないでしょうか。また、業界団体が主体の実行委員会では、恒例のファッションザッカフェアの二番煎じにならないでしょうか。
 区長にお尋ねします。産業フェアは、個別企業の宣伝の場、ビジネス交流の場なのでしょうか。台東区ブランドとは何であり、どのような発信をするのでしょうか。都の産業交流展やファッションザッカフェアなどとの違いはどこにあるのかお答えください。
 産業フェアを業界優良企業の見本市のような取り組みで終わらせるべきではありません。意欲ある事業者への支援は必要でしょうが、厳しい経済状況下で、事業を継続しようかどうか、後継者に事業承継しようかどうか、迷っている多くの中小零細事業者に希望を与えることこそ大事であります。地域産業を長年支えてきたこれらの事業者の存在こそ、若いものづくりの力を今引きつけている分厚い基盤をつくってきたことを忘れてはなりません。産業フェアの目的を区内産業の再認識、基盤の再整備に置き、イベントの後も長く財産になるような取り組みにすべきではないでしょうか。そのために産業フェアを業界型ではなく地域型にしていくべきであります。
 区内産業にかかわる全ての企業、デザイナーズビレッジやものづくり工房を初め、民間のインキュベーション施設と入居者、その卒業生や新しく区内で開業したアトリエ店舗、都立靴づくり専門校や民間のデザイン学校、官民が保有する品質検査や素材開発機関など、区内産業にかかわるありとあらゆる産業資源に参加を求め、産業フェアを通じてその情報をデータベース化することであります。これについては先ほど冨永議員が質問し、区長の力強い前向きな答弁がありましたので、私は本当にいいなというふうに思いました。区内全ての企業が、そして機関が産業フェアを意識し、課題を設定し、みずからの仕事を再認識する機会にする。そのことそのものが地域ブランドとしての台東区ブランドを発信する基礎になるはずであります。産業フェアを地域型にし、この機会に台東区の産業の再認識、基盤の再整備をしていこうではありませんか。区長の見解を伺います。
つ目は、産業振興プランの改定について、3点伺います。
改定に向けた実態調査です。
 区長は、その目的を、区の産業の現状や課題を整理するとともに、地域のニーズなどを的確に把握していくために行うと述べました。台東区は、現行のプランが始まって3年半、「創造力あふれる産業文化都市たいとう」をスローガンに、5つの課題を抽出し、それぞれ振興方策を展開してきました。この間、中小企業にとって依然厳しい景況は続いていますが、台東区はデザイナーズビレッジやものづくり工房卒業生の区内での開業、モノマチ、エーラウンドなど、若いクリエイターの地域活性化の取り組み、長年地域を支えてきた企業と若い力との交流の深まりなど、未来につながる貴重な財産が生まれ、育ってきました。
 区長は今回の調査で改めて現状の把握と課題を整理すると言います。しかもコンサルタントにやらせる。それでいいのでしょうか。現行プランの課題そのものは今後も維持すべきであります。新たな課題を抽出するより大事なのはプランの検証ではないでしょうか。「創造力あふれる産業文化都市たいとう」というビジョンにどこまで近づいたのか。課題解決がどこまで進み、どこがおくれているのか。総合的な総括や各事業の検証をコンサルタント任せでなく、区みずから行うことこそ重要ではありませんか。区長の所見を求めます。
つ目は、全ての基本になる経営相談についてです。
センターが4月から個別企業の相談窓口として活動を始めています。待ちの姿勢ではなく、企業の現場に出向いて相談に応じるなど、積極的な姿勢は大変評価をいたします。しかし、相談がアドバイスにとどまってはいないでしょうか。指摘はよくわかる、そのとおりやりたいが、どうやったらいいのかわからないという声をよく聞きます。
の30代のあるクリエイターがネイルアートシールをベトナムで展開するため、経済産業省のクールジャパン機構の事業に申請し続けたが、3年待たされ、結局、資金が底をついたため、区の相談に行きました。この方は、親切なアドバイスに感謝しつつも、振興公社など幾つかの相談窓口を区から紹介されたが、結局、クールジャパン事業は大手ばかりが採用になることが身にしみただけだったと、このように振り返っています。ワンストップのハンズオン相談、これを掲げながら、その機能が果たせていないのが実態ではないでしょうか。
 区の経営相談に必要なのは、アドバイスと同時に一緒に行動する支援であります。富士市産業支援センターf?Bizは、相談を受け、課題と方針を明らかにした上で、ブランディングやホームページ、ポップの作成まで、その場から一緒に行動し、大変喜ばれ、成果を上げています。
 区長、新しい産業振興プランでは、相談をアドバイス型から一緒に行動型へと進化させるべきではないでしょうか。そのためには支援をする側への支援、これを抜本的に強めるべきであります。いかがでしょうか。
は、「創造力あふれる産業文化都市たいとう」というビジョンを切り開くための骨太の施策についてであります。それは職住接近という角度であります。
 私は、長年地域産業を担ってきた企業やその後継者、そしてその技術やノウハウの魅力に集まってくるクリエイターの多くが、台東区の歴史や文化、まちづくりに高い関心を持ち、行動している。そのことをこの間、区議会で繰り返し取り上げ、紹介してきました。モノマチもエーラウンドもまちづくり、地域の活性化を中心テーマにしています。おかず横丁でのものづくり横丁は、この商店街に住み、そこで開業した若手クリエイターが商店街と連携し、毎月開き、1年以上になります。地域を明るくする貴重な取り組みです。事業後継者、クリエイターがこのまちで生き生きと住みながら働き続けられる職住支援が何より大事です。区内にお店と住まいを両方借りるのは大変です。事業が軌道に乗り、毎月三、四十万円の家賃を負担できるまでには時間がかかります。
 区長、事業後継者や若いクリエイターへの住居兼事業所を支援しようではありませんか。これまで私は、空き家を改修した店舗兼住宅、空き工場をリノベーションしたアトリエ兼シェアハウスなどを提案してきました。今度の新しいプランで位置づけていただくよう強く要望いたします。区長のお考えを伺い、私の質問を終わります。(拍手)

○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 秋間議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、社会保障・税番号制度についてです。
 まず、制度に対する理解です。
 本制度は、国や自治体等にある個人の情報が同じ人の情報であることを正確かつスムーズに確認するための基盤となるものです。その基盤を活用し、個人番号による情報連携を進めることで、国民の利便性の向上や行政の効率化が図られ、所得やさまざまな行政サービスの受給状況を適切に把握することで、公平・公正な社会の実現に寄与するものと認識をしております。
 次に、個人情報漏えいの対策についてです。
 区では、区民の皆様の個人番号の収集・保管は、法令で定められた場合のみ行います。また、職員に対して制度の周知を図るとともに、個人番号は専用端末で取り扱い、利用できる職員も限定するなど、システム上の情報管理を徹底してまいります。
 区民の皆様にはこれまでも区公式ホームページ、広報たいとう特集号や町会回覧板等を通じて制度の周知を図ってまいりました。今後とも区作成チラシの活用や本庁舎1階での窓口相談に加え、町会への出前講座等を通じて、個人番号の取り扱いについて広く周知してまいります。
 また、利用範囲の拡大については、区民の利便性の向上と個人情報漏えいへの懸念とのバランスを考え、適切に判断してまいります。
 次に、本制度に関する国への進言についてです。
 区では、今後とも国の動向を注視するとともに、法律に基づき適切に実施してまいります。
 ご質問の第2は、産業政策についてです。
 まず、区内産業の現状認識についてです。
 区内中小企業者の売り上げの停滞・減少の原因については、全国的な傾向として、国内の人口減少による消費・経済力の低下と安価な輸入品の増加によるものが大きく、区内においても同様の傾向にあるものと認識をしております。
 また、本区産業の実力や特徴については、平成24年経済センサスによると、面積当たりの売上高は関東大都市圏で第5位と高い実力を誇っております。その特徴は、ファッション雑貨関連を初め、歴史と伝統に培われた製造、卸売業などが集積していることと考えております。
 また、区内産業の現況は、中国経済の減速や円安による原材料の高騰などにより、依然として厳しい経営環境が続いているものと認識をしております。
 次に、台東区産業フェアについてです。
 まず、台東区ブランドは、歴史と伝統に培われたものづくりのまちであるという本区の地域イメージ全体を示すものと考えております。
 現在、産業フェアの実施に向けては、台東ファッションフェアの構成員である皮革関連7団体を初め、区内19団体の関係者で構成する実行委員会で検討を進めています。
 私は、本区の中心的な地場産業の多彩な製品を積極的に国内外に売り出していくために、産業フェアを開催し、台東区ブランドの知名度を高めてまいります。そして本区産業の特徴を生かした効果的な演出等を行いながら、他の展示会や交流展との差別化を図ってまいります。
 ご提案の区内産業の再認識、基盤再整備については、今後研究してまいります。
 次に、産業振興プランの改定についてです。
 まず、改定のための実態調査については、産業全体の課題やニーズ等を把握するため、現行プランの検証を初め、アンケート調査やヒアリング調査を区と産業振興事業団が連携して進めてまいります。その際、集計や分析などの作業については、コンサルタントを活用しております。
 次に、経営相談については、今年度から個別事業者の相談にきめ細やかに対応するため、ビジネス支援ネットワークを構築し、今、実施をしております。さらに、ビジネスアドバイザーが事業所に直接出向いて対応策を検討するなど、相談者に寄り添った支援を積極的に実施しております。
 次に、若いクリエイター等への住居兼事業所の支援についてです。
 本区産業の活性化のためには、若いクリエイターを初め、多くの事業者が区内に定着し、店舗や事業所を開業することが重要です。このため、これまでも商店街空き店舗活用支援事業やアトリエ化支援事業など、さまざまな事業を実施しているところです。
 ご提案の住居への支援については、実施する予定はありませんが、事業所の開業支援については、新しいプランにおいても引き続き取り組んでまいります。

阿部光利

  1. 木造住宅密集地域の整備について
     1.建替え促進事業の推進と今後について
     2.無接道敷地の建替えの促進について
  2. 観光ボランティアガイドについて

◆26番(阿部光利 さん) つなぐプロジェクト、阿部光利でございます。
 まず初めに、木造住宅密集地域の整備について、2点お伺いいたします。
 1点目は、建替え促進事業の推進についてでございます。
 台東区では、防災性の向上に向けて、平成14年より密集住宅市街地整備促進事業を導入し、取り組んでまいりました。根岸3、4、5丁目地区内においては、これまで密集事業で整備した防災広場による空地の増加などもあり、地域全体で不燃領域率は事業開始時の54.9%から約1割近く向上し、64.4%となっています。
 東京都の防災都市づくり推進計画によれば、この不燃領域率は、地域内における道路、公園などのオープンスペースや燃えにくい建物が占める割合をもとに算出するもので、まちの燃えにくさをあらわす指標であり、不燃領域率が70%を超えると市街地の焼失率はほぼゼロになるとされています。よって、現在の不燃領域率64.4%はかなりの実績が上げられていると受けとめることができます。
 しかし、当該地域内の住居地に絞って平成26年に設定された新たな防火規制区域では、不燃領域率は現在46.1%であり、まだまだ防災力向上に向けた取り組みは十分ではありません。
 根岸地区における密集住宅市街地整備促進事業や新たな防火規制の施行に伴い実施された建替え助成制度は、平成28年をもって終了することとなっています。建てかえなどの場合であれば、設計や施工など、それ相応の時間を要するために、残された時間はあとわずかであります。建替え促進事業の終了まであと1年半となった今こそ、ラストスパートをかけ、防災力向上を積極的に推進していかなければなりません。
 そこで、事業終了まであと1年半と迫った建替え促進事業の現状と今後の見通しについて、区長の所見をお伺いいたします。
 続いては、無接道敷地での建替えについてお尋ねいたします。
 木密地域の建てかえを進める場合、課題になっているのは、道路から奥まった敷地に建つ建物であります。建築基準法では、建物敷地は道路に2メートル接していなければならないとあり、結果、その条件を満たさない敷地の所有者は建てかえをすることができず、既存の家屋が老朽化したまま取り残されることになり得ます。特に古くからの住宅が残る谷中、根岸、北部地区などの地域においては、その傾向が顕著に見受けられます。
 同じ課題を持つ新宿区では、都内23区で初めてとなる許可基準の緩和をことし4月より実施いたしました。これは、道路に面していない建築物を建てかえる場合、従来必要だった道路沿いの土地の地権者の承諾を不要とし、道路を整備する場合の建蔽率を緩和するなどとして、耐震化や不燃化につながる建てかえを促し、木密地域の解消に取り組んでいくというものであります。
 といえども、この基準緩和でも幾つかの基準を満たすことが必要となっておりますが、将来の首都直下型地震など大規模災害に備えて、基準緩和を通じて木密地域の無接道敷地での老朽建築物の建てかえを促進する取り組みを推進していくべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 続いては、観光ボランティアについて質問をいたします。
 近年、地域社会において、観光の果たす経済的な役割の意義がより広く認識されるようになりました。一方、日本各地に経済的価値を伴わないことにその特色を持つ観光ボランティアガイドの組織が設立されております。日本観光振興協会によれば、現在各地で活動している観光ボランティア組織の数は1,600団体を超えるとされております。組織の活動は多種多様、各地域において観光振興に幅広く貢献しております。
 本区では、大きく2つの団体がその役目を担っています。主に日本語での観光案内を実施している台東区観光ボランティアガイド、そして外国語で観光ボランティアを実施している東京SGGクラブです。それぞれの登録人数は、台東区観光ボランティアガイドがことしの4月現在で69名、東京SGGクラブが同じく4月段階で154名となっております。合計で223名の観光ボランティアガイドに支えていただいております。
 台東区観光ボランティアガイドは、平成13年8月1日より事業を開始。そもそもは、台東区が主催した長寿大学で、上野、浅草、谷中の歴史や史跡を学ぶ史跡ガイドボランティアの卒業生で組織した台東史跡愛好家が母体となって組織された団体であります。
 一方、インバウンドの東京SGGクラブは、昭和58年にボランティア通訳の任意団体として発足。昭和60年から浅草文化観光センターで案内を開始しており、もう既に30年にわたり協力をいただいております。主な業務は、1日500人以上が訪れ、150人以上に対応する浅草文化観光センターでの外国人窓口業務、それに無料同行ガイドツアーを浅草エリアと上野エリアで実施しており、外国人観光客から非常に高い評価を得ていると聞いております。
 2つの団体は、観光客の多さ、観光資源の豊かさ、会員のモラルとガイディング技術の水準の高さ、組織的な運営能力の堅実さは日本有数の団体であると言われております。地道な活動が評価され、都内の小学3年生、4年生の教科書の副読本で台東区観光ボランティアガイドの皆さんが紹介されております。
 本区は、通り一遍の観光では不十分なほど歴史と文化の奥が深い地域であります。問題は、どうやってその奥深い本区のよさを観光客に理解してもらうかであり、要はそのきっかけをつくることが大事であると思います。そのためには、漫然と観光資源を見ていただくだけではなく、歴史的整合性やガイドブックには載っていない豆知識などを伝えてくれる観光ガイドの存在が必要不可欠であると考えます。現在も観光政策担当者と連携し、信頼関係が構築されておりますが、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ますますの協力体制の強化が望まれるところであります。来街者の増加に伴い、本来の業務以外の煩雑な事務作業などもふえているとも聞いておりますが、まさに台東区の観光を、その観光の一翼を支えていただいている観光ボランティア団体に対して、台東区の役割をどのように捉えているのか、区長にお伺いいたします。
 また、観光客のニーズも変化しており、より高度な希少性と多様性、専門性を求める傾向にあるようです。それらのニーズに応えていくには、観光ボランティア団体の皆様に積極的に進めていただく体制を整えていく必要があると考えます。
 現在、上野、浅草を中心に2団体が実施しているガイドツアーをさらに充実していただくためにも、観光客の集合場所の確保などの支援が必要であると考えますが、あわせ区長にお伺いいたします。
 質問は以上でございますが、ここでインバウンド対応として、台東区の最近の動きを2つご紹介申し上げます。
 1件目は、先ほど田中議員よりうれしいという表現がございましたが、本日より台東区のホームページが変わりました。89の地域の言語に変換されるというものでございますが、これは特筆するべきところといたしましては、観光客向けの情報ページのほか、暮らしのガイドや区政情報などの区民向けのページもある。区はこうした住民向けの情報も含めて多言語対応するとしっかりと毎日新聞では紹介をいただいております。まさに外国の方々、海外の方々だけではなく、国内向けにも行っているということであります。
 さらには、11月11日、ハラール認証第1号が誕生いたしました。マレーシア大使もご出席いただき、認証式が行われたわけでございますが、このような能動的な観光施策をどんどん実施していただきたいと考えております。将来的なPRの素材となり得るわけでございますので、大いに進めていただきましょう。
 以上で私の一般質問を終了させていただきます。(拍手)

○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 阿部議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、木造住宅密集地域の整備についてです。
 まず、建替え促進事業の推進についてです。
 木造住宅密集地域の整備、特に地域全体の防災性向上に対して効果の高い不燃化建てかえの促進については、私も非常に重要であると認識をしております。今年度からは、新たな防火規制区域での不燃化建てかえ助成を住宅以外の用途も対象とするなど、制度を拡充し、取り組みの強化を図っております。
 議員ご指摘のとおり、根岸3、4、5丁目地区については、平成28年度で事業が終了いたしますが、不燃領域率70%を目標に不燃化建てかえの促進を図り、木造住宅密集地域の防災性向上に引き続き取り組んでまいります。
 次に、無接道敷地における建替えについては、周囲の状況を勘案し、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない場合に限り、関係権利者の承諾のもと、建築審査会の同意を得て許可としております。
 また、木造住宅密集地域においては、老朽建築物等建替助成制度により、また、これに該当しない場合には、住まいの共同化と安心建替え支援制度により共同建てかえを支援し、敷地の一体化による無接道状況の解消と同時に、防災上の向上を図っております。
 議員ご提案の建てかえ促進策については、先行自治体における緩和の影響を把握するとともに、本区の地域特性を反映した安全で安心なまちづくりの視点から研究をしてまいります。
 ご質問の第2は、観光ボランティアガイドについてです。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、観光客の増加がさらに見込まれます。このため、国際文化観光都市を標榜する本区において、ボランティアガイドの役割は今後ますます重要となります。
 本区では、ご指摘のとおり、日本語の台東区観光ボランティアガイド、外国語の東京SGGクラブの2団体が観光案内や観光に関する相談の対応、ガイドツアーなどを行っており、その活動を通して区のPR、イメージアップなどに大きく寄与していただいております。
 一方、東京都が養成した観光ボランティアが新たに区内で活動を開始するなど、活動範囲を広げる中、区内のボランティア活動の調整を図る区の役割も重要となっております。区といたしましては、これまで以上におもてなしの心を持って観光客をお迎えするために、1つは、本区の歴史・文化を適切にガイドするための研修、2つ、ボランティアの確保に向けたPR、3つ目が、観光に関する最新の情報の提供など、ボランティアガイドがさらに円滑に行われるよう、役割を担ってまいります。
 また、議員ご指摘のとおり、多くの観光客に本区の多彩な魅力を紹介するガイドツアーを拡充することは、私もこれは大切であると考えております。その一方で、拡充するためには、人材の育成やスケジュール管理、観光客の集合場所の確保など、さまざまな課題があります。このため、各団体と十分に協議を行い、拡充に向けて努めてまいります。