早川太郎

  1. 財政について
  2. 環境について
     1.区政における環境施策の位置づけとCO2削減の推進について
     2.区有施設の省エネ対策について
  3. 協働事業について

◆8番(早川太郎 さん) つなぐプロジェクト政調会長、早川太郎でございます。会派を代表して、大きく3点伺います。
 まず初めは、財政についてです。
 今定例会で提出された補正予算案では、特別区民税は約5億円、特別区交付金に至っては17億円の増収が新たに計上され、一般会計では基金の取り崩しをほぼ実施することなしで済むことになりました。さらに、基金を約50億円積み増したことにより、基金残高は約400億円となっています。
 
28年度予算案では、前年度当初予算に比べ特別区民税は約7億円、特別区交付金も7億円の増収を計上しています。一般会計は、前年と比べ27億円増の968億円で、区政史上一番規模の大きい予算案となります。そうした状況下にあっても、区債発行、そして基金取り崩しの総額は前年に比べ約11億円も少ない約23億円で済んでいます。これらの結果から、財政状況が飛躍的に好転しているようにも見えます。
 しかし、将来に目を向けてみれば、歳入では消費税の増税による地方消費税交付金の増額は、区が支払う消費税や住民税の国税化などの影響で、区財政へのプラス要因とは必ずしもなり得ません。消費税10%移行後には、さらに国税化が強化される可能性も高く、特別区交付金に与える影響は深刻です。また、景気の低迷による歳入減や消費税増税分の転換措置として、国、都からの支出金の減などの懸念もあり、さらに地方消費税の軽減税率実施による消費税収の補填財源のあり方によっては、台東区に交付される地方消費税交付金の減額懸念もあります。
 歳出面でいえば、区有施設の老朽化対策として、前年当初予算対比で約4億円増の約20億円が28年度予算案では計上されておりますが、区の公共施設保全計画中間のまとめによれば、待ったなしの老朽化対策をしっかりと計画的に進めていくということで、試算では今後30年間で約850億円、各年では平均28.4億円の経費がかかる予定であり、多額な経費がかなりの期間、必要となってきます。
 また、子育て支援対策では、子ども・子育て支援新制度が開始される前の26年度から比較すると、28年度までの3年間で認可保育所5園、小規模保育所4園などが新設されることになっており、こども園を除く保育施設の運営コストは、28年度の予算案では約53億4,000万円、26年度決算数値と比べて約13億3,000万円、3割以上の増額となっています。その増額分のうち、国や都などの補助金や保育料などの収入を差し引いた一般会計からの支出が約8億1,000万円にもなっています。保育施設の需要が高まる中、待機児童ゼロを目指すなら、保育施設のさらなる充実は必須であり、さらなる増設が必要となってきます。それに加え、子供の人口増加に伴い、放課後児童対策や学校施設の整備、子ども医療費助成など、子育て支援経費は今後大幅な上昇が予想されます。
 一方、高齢者対策では、400人弱が待機者となっている特別養護老人ホームの合わせて200床以上の施設整備費として、28年度約11億円の予算を計上しておりますが、将来的に見れば、特別養護老人ホーム整備はこれで済むわけではありません。介護報酬でペイできるとされている100床を大きく下回る施設が谷中、浅草、蔵前、三ノ輪など多数あり、現状、指定管理費として赤字分を区が補填しておりますが、これら施設は従来型の多床室で運営されていることもあり、他の場所に大規模施設を新設することを含めて、施設自体の検討を行っていかなくてはなりません。また、地域包括ケアシステムの構築に向けては、今後ますます重要になる介護予防事業の充実が必要であり、当然それに係る経費も増大します。
 さらに、障害者施策の事業費では、障害者自立支援法成立以来、障害福祉サービスの内容充実や、受給者の増により、5年前の23年度予算現額約35億8,000万円に比べ、28年度予算案では約47億2,000万円と5年間で11億4,000万円の増額。今後も生活支援施設や福祉作業所、グループホームの整備など、充実していかなくてはならない事業も多く、事業費は増大していきます。
 さらに、本年4月に施行される障害者差別解消法を積極的に支援していくためには、バリアフリー対応など、官民問わず障害者支援を促進していく施策が必要となっていくことでしょう。
 そのほかにも、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みや、耐震化・不燃化などの災害対策など多額な費用が見込まれる課題は多数あります。新興国の経済不安や原油価格の大幅な下落など、ことしになって急激な円高が進み、株価に至っては一時、年初から4,000円近く下落し1万5,000円を下回りました。また、内閣府が15日に公表した、昨年10月から12月期のGDP速報値によれば、GDPの約6割を占める個人消費が半年ぶりのマイナスになるなど、我が国の経済状況は先行き不透明感が増してきています。
 今後も子育て・高齢者・障害者などへの対応は充実していかなくてはなりませんし、耐震化・不燃化など命を守る施策はさらに充実していかなくてはなりません。
 基金にしても、リーマンショック以降、景気低迷による減収の影響などで22年度から24年度の3年間で、当初予算では約110億円の基金を活用し、財源対策を行わなければなりませんでした。景気が悪化し、歳入が増加していかなくても、先ほど述べたような施策は今後も持続的に事業を展開していかなければなりません。今まさに必要なものには十分な予算措置をとっていかなくてはならないとも思っておりますが、将来に備え、引き続き財政基盤の強化のために努めていくべきと考えます。
は、区の財政状況をどのように認識し、将来の備えに対してどのように対処していくつもりか、ご所見を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 気候変動の影響により、干ばつや異常気象、海面水位の上昇、感染症の拡大、生物種の絶滅など、気候変動による被害は着実に世界中で広がっています。その影響は台東区においても例外ではなく、猛暑日が続くことによっての熱中症や局地的な集中豪雨による浸水被害などがあり、日本各地の洪水被害を見ても、荒川決壊による区の3分の2が被災する洪水ハザードマップの想定が現実的な恐怖として再認識されています。
 昨年12月に開催されたCOP21において、気候変動による人間社会や生物・自然への影響を抑えるための大きな前進となるパリ協定が、世界196の国・地域により採択されました。
 パリ協定では世界の気温上昇を産業革命前と比べて2度よりかなり低く抑え、さらに1.5度未満となるよう努力するため、2020年以降、先進国と途上国がともに排出削減目標の作成と提出、対策実施の義務を負い、5年ごとの評価を通じて永続的な対策を続けることとなります。今後、我が国はパリ協定を受けて、平成42年度に25年度比で26%削減という約束草案の達成に向けて、国内対策を整備していくことになります。
 また、東京都では、世界一の環境先進都市・東京の実現を目指し、国の削減目標よりもさらに厳しい、平成42年度までに、12年度比で30%削減という新たな目標設定を行おうとしています。電源構成の30%弱を占めていた原子力発電から、3.11以降、より温室効果ガス排出量が大きい火力発電へのシフトが進んだ結果、電力会社が一定の電力をつくり出す際にどれだけの二酸化炭素を排出したかの指標であるCO2排出係数は震災前と比べて5割以上も上昇しています。電力供給における再生可能エネルギーなどのさらなる活用や蓄電池などの飛躍的な技術の進歩がなければ、この目標はかなり厳しい状況です。
 CO2排出量の多くを民生部門が占める台東区においては、行政だけでなく、区民や区内事業者、まさにオール台東区で一丸となって目標達成に向けて行動を起こしていくことが必要となってきます。温室効果ガス削減に向けて、国や都の目標と同等の目標を定め、実現に向けてCO2削減を推進していくなら、区長の断固たる決意が必須です。
 今回の所信表明演説においても、残念ながら区長の環境政策に対する思いが十分に発信されていなかったように感じますので、この際、区政における環境政策の位置づけをどのように思っているのか、また、CO2削減に向けてどのような意気込みを持っているのか、ぜひご披露いただきたく、服部区長のご所見を伺います。
 区がCO2削減に向けて、自己完結できる数少ない施策の一つに区有施設の省エネ化推進があります。区有施設の省エネ化はCO2削減に寄与するだけでなく、将来における経費の削減にも大きく効果をもたらします。しかし、多大なコストを伴う区有施設の省エネ化については、原則、大規模改修時に行うとなっています。
 公共施設保全計画の中間のまとめでは、省エネ化を進めることにより30年間で58億円、単純割りだと年約2億円のコストが軽減できるとの試算がなされています。光熱費の大きな本庁舎は、既に省エネ化を進めており、さらに、この試算の中には多額な電気料のかかる街路灯なども含まれておりません。施設によっては1年前倒しするだけでも多額なコストが削減されることになります。将来においても、決して楽観できる財政状況が期待できない中、ランニングコストも減り、かつ、CO2削減に貢献できる省エネ・再生可能エネルギーの導入は、今まさにアクセルを踏むべき施策なのではないでしょうか。
 また、太陽光発電など、再生可能エネルギーの活用により、災害時の電力供給を賄うことができるようにもなります。区有施設のCO2削減をしっかりと進めていくために、エネルギー消費量削減の成果をはかりにくいCO2削減目標だけでなく、年度ごと、個別施設ごとのエネルギー量削減の目標数値を立て、しっかりとした進捗管理を行っていける体制を構築すべきです。さらに、その成果をわかりやすい形で発信し、区民の意識向上につなげていくべきと考えます。
 そもそも区民や事業者などに省エネ推進を働きかけるなら、まずは行政が自身でできること、つまりは区有施設などにおける省エネ化を誰よりも推進していかなくてはならないのではないでしょうか。区有施設の省エネ・再生可能エネルギー推進に向けて、区長のお考えをお聞かせいただきたく、所見を伺います。
 最後に、協働事業について伺います。
 社会が多様化し、その社会で暮らす区民もさまざまな生き方が選択できる時代になってまいりました。それに伴い、行政に求められるサービスも多様化・複雑化してきており、今までの行政手法だけでは対応し切れない状況となってきています。将来においても決して楽観できる財政状況が期待できない中、多様な行政ニーズに応えていくためには、やる気やノウハウのある団体と協働しながら行政サービスの充実を図っていく、そういった行政手法を地方自治体は積極的に推進していかざるを得ない時代がやってきています。そのための施策が協働事業であり、NPO法人などの団体や公益活動を実践する企業などの社会貢献活動団体と区が力を合わせ、地域の課題解決へ取り組む仕組みの構築が急務となってきています。
 昨今、各自治体では、行政サービスの充実・情報発信を強化しています。スマートフォンなどの普及により、各自治体の情報を比較しやすくなってきており、特に交通網が発達している23区では、より自分に必要な行政サービスを行っている自治体を選択肢の上位に位置づける可能性が増してきているからなのではないでしょうか。将来的には、協働事業活用の成否が地方自治体の優劣を決することになるかもしれません。
 区は行政計画において、提案型協働事業制度を29年度から実施とし、26年3月に台東区協働指針を策定、来年度より中間支援組織を台東区社会福祉協議会内に設置するための整備を進めています。また、来年度からは、区民課のコミュニティ係を改組して、協働などを担う協働・多文化共生係を設置する予定であり、協働事業の推進に向けて準備を進めていることは評価しています。
 しかし、協働事業の成果をしっかりと出していくためには、中間支援組織の優秀な人材の確保や利用しやすい立地、補助金指針の見直し、オープンデータの実施、庁内における組織改正を含めたバックアップ体制づくりなど、推進に向けてやるべきことは、まだ多数残されています。そして、一番重要なことですが、協働事業を成功させるためには、何よりも行政側の意識改革が必須であります。
 台東区においても、協働事業の実施・育成を最重要課題の一つとし、区長の強いリーダーシップで着実に育成していくための準備をしっかりと行っていくべきと考えますが、区長の所見を伺います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 早川議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、財政についてです。
 まず、本区の財政状況に対する認識です。
 国は、1月の月例経済報告において、我が国の経済は緩やかな回復基調が続いているとの認識を示しています。一方、議員ご指摘のとおり、昨今の不安定な金融資本市場の変動に見られるように、景気の先行きは不透明さを増しているものと認識しております。
 本区の財政状況は、歳入では消費税率10%への引き上げ時におけるさらなる国税化による影響で、主要財源である特別区交付金の減を懸念しています。また、歳出においては、人口の増加や区有施設の老朽化への対応など、増大するさまざまな行政需要を抱えており、予断を許さない状況にあると考えております。
 次に、今後の財政運営についてです。
 私は、いかなる経済状況にあっても、区民福祉の充実や新たな行政需要に的確に対応していくことが重要と考えております。そのためには、基金は財源不足や景気変動などに備えるため、一時的な歳入の増加や結果的に生じた歳計剰余金を積み立てる一方、必要な区民サービスや財政需要に対応するため、適切に活用してまいります。さらに今後、区有施設の計画的な大規模改修などの財源としては、一般財源の状況や世代間の財政負担の平準化の観点を踏まえつつ、特別区債も慎重に活用を図ります。
 私は、将来にわたって区民の皆様が安心して生活できるよう、基金や特別区債を有効に活用しながら、中長期的な視点に立った安定的な財政運営を推進してまいります。
 ご質問の第2は、環境についてです。
 まず、区政における環境施策の位置づけとCO2削減の推進についてです。
 私は、環境施策は区民生活の基盤を占めるものであり、地球温暖化対策、まちの美化、循環型社会の実現、環境教育など、区政全般にかかわる重要課題の一つであると認識をしております。また、地球温暖化の原因であるCO2の削減については、区は住民に最も近い自治体として、区民や事業者とともに一丸となって、この課題に取り組んでいかなければなりません。
 そのため、区では、区民や事業者の省エネ行動の実践や省エネ機器の導入に対し、より一層の支援を行い、CO2の削減を目指してまいります。さらに、国や都とも連携を密にし、継続的に取り組んでまいります。
 次に、区みずからの省エネルギーの推進についてです。
 議員ご指摘のとおり、区民や事業者に省エネを働きかけるに当たり、区みずからが率先して模範を示し、先導的役割を果たしていくことが重要であると私も認識をしております。
 そのため、区有施設の大規模改修等の際には、省エネ機器を積極的に導入することはもとより、既存施設にあっても、LED照明などの機器については、積極的かつ計画的に設置し、省エネを推進いたします。また、本年3月に策定する区有施設地球温暖化対策推進実行計画において、エネルギー使用量等の削減目標値を設定し、着実に実施いたします。
 こうした取り組みにより、エネルギー使用量削減によるランニングコスト削減のメリットなどを区民や事業者にお示しして、区が指導的役割を果たしてまいります。
 ご質問の第3は、協働事業についてです。
 地域を取り巻く環境が、多様化・複雑化する中、町会等、地域社会で活動する団体が持つ専門性などを生かす協働がもとめられています。私も今後の区政運営にとって、地域における課題解決や地域力の向上に向け、協働がますます重要なことであると認識をしております。
 そのため、本年4月に開設する中間支援組織は、さまざまな分野で活動する区民や団体、事業者などと幅広いネットワークを構築して、区や団体間のパイプ役として協働の取り組みを促進してまいります。
 今後とも本区の多彩な特性や地域の魅力を生かしながら、より一層協働を推進し、区民の皆様とともに知恵と力を出し合い、住みよく暮らしやすい地域社会の実現に向け、鋭意努めてまいります。

青鹿公男

  1. トイレ設備の更なる充実について
  2. 防災力の更なる向上について
     1.防災士資格取得の推進について
     2.水害対策について
  3. 子ども達が安心してボール遊びができる場所の拡充について

◆7番(青鹿公男 さん) つなぐプロジェクトの青鹿公男です。議員として約1年がたちました。ことしは年男ということもあり、自分らしさを徐々に出させていただきながら、2回目となる一般質問を会派を代表しまして大きく3点、区長と教育長にさせていただきます。
 最初に、トイレ設備のさらなる充実について質問をいたします。
 平成27年3月の台東区観光統計・マーケティング調査報告書によると、台東区の1年間の観光客は、26年度4,500万人となっており、平均滞在時間は3時間となっております。同調査の中で、日本人来訪者を対象に台東区の印象を尋ねたアンケート結果では、よかった点として、名所、旧跡、博物館、美術館が上げられております。逆に、大変残念だった点としまして、ワースト1位でトイレが上げられております。27年度の台東区民の意識調査では、観光振興の上で重要なことというアンケートにおいては、伝統行事の継承に次いで、バリアフリー化や公衆トイレの整備が上げられており、トイレについては区民の関心も高いのが確認できます。
 さらに、先日行われた今定例会の所信表明演説の中で台東区観光振興計画に触れ、オリンピック・パラリンピックの大会後のレガシーを見据えた本計画の取り組みを通じ、全ての観光客が満足し、区民が愛着や誇りをより一層持てる観光地を目指すとの区長のかたい決意を伺いました。現在、台東区では、平成17年にさわやかトイレ整備方針を作成し、トイレのマイナスイメージの5Kである汚い、臭い、暗い、怖い、壊れているから、プラスイメージの5K、きれい、輝き、感動、快適、そして気持ちよいを感じることができるよう、誰もが快適に利用できるトイレを目指し整備を進めております。
 また、既存トイレの整備は美観にも考慮し、バリアフリーにも対応した、だれでもトイレの設置も推進されております。さわやかトイレ事業は行政計画事業にもなっており、28年度においては1カ所、29年度には3カ所が実施される予定となっております。しかし、2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、国内外からの来街者が大幅に増加している現状を考えると、先ほど述べたプラスイメージの5Kを持っていただけるようなトイレの整備が現状の対策だけで十分と言えるのでしょうか。
 台東区はここ数年、浅草や上野などの昔から有名な観光スポットだけでなく、かっぱ橋道具街や谷中などの新しい観光スポットもふえ、さらに行政もSNSなどを活用し、既存の埋もれている名所などの新たな台東区の魅力の発信も始めており、来街者の行動範囲も拡大されてきております。
 また、区内全域が観光スポットとなるような施策を推進していかなければなりません。観光スポットが広がり、来街者が増加していくのであれば、地区によっては公衆トイレの需要は増してくるはずで、さらなるトイレの増設が必要となってくるのではないかと思っております。
 とはいえ、トイレの増設は、既存トイレの改修費だけでも28年度には柳橋2丁目交番裏のトイレ改修費用に約1,400万円が予算計上されているように、改築の1カ所だけでも1,000万円を超える経費がかかり、新たに土地を探すのならばその分の経費もかかり、多額な資金を要します。
 そこで、例えば、単なる公衆トイレではなく、秋葉原や新宿でも設置されております有料トイレの設置により、一段上のおもてなしを実現したり、企業や商店街をPRできるトイレの命名権、ネーミングライツを導入し、安定的な財源確保により持続可能な施設の運営を可能にしている行政もふえつつございます。こういった手法を取り入れれば、トイレの増設に際し、区の財政負担を抑えることも可能となっております。有料トイレやネーミングライツ等の手法も検討し、来街者の増加や観光スポットの広がりにしっかりとしたおもてなしで対応できるよう、プラスイメージ5Kのトイレの増設も含め、しっかりと整備していくべきと考えますが、今後の台東区のトイレ設備の充実について、区長の所見をお伺いいたします。
 次に、防災力のさらなる向上について2点ご質問をいたします。
 1点目は、防災知識のさらなる向上についてです。
 今月、地元、金竜小学校で4町会合同の避難所防災訓練が行われました。約100人近い町会の方が集まり、防災トイレの組み立て、緊急時の飲み水供給、災害時の連絡手段の確認など、来る震災時の想定をしながら真剣に訓練に取り組んでおりました。それらにより、行政の災害に対する啓発活動がかなり浸透しているのを痛感いたしました。訓練に参加された多くの方が、避難所となる学校の備品や備蓄品が置いてある場所とその状況を把握することができてよかったとの声をいただいております。
 26年度に修正された東京都台東区地域防災計画上は、台東区の震災の被害想定として、震源を東京湾北部、規模マグニチュード7.3、昼間人口を30万人、夜間人口を18万人、時期・時刻については、冬の朝5時、そして12時、夕方の18時で、最大人的被害を負傷者6,000人、物的被害においては9,500棟の全壊と予想されております。区は、首都圏直下型大地震の被害を少しでも減少させるため、東日本大震災以降、地域防災計画の修正、初期消火体制の強化、そして、避難所などにおける備蓄品の充実など、震災対策の充実を推進してきております。
 今後、区民のさらなる安全安心の次のステップに必要だと感じたのは、避難所運営についてです。災害時は、複数の町会が1つの建物の中で数日間生活を行うことになります。避難所運営については、食料の確保だけでなく、仮設トイレの設置やけが人、病人の応急場所確保などが必須となります。台東区も3.11の大震災以来、45ある避難所において、避難所運営委員会の開催を進め、それぞれに避難所ごとのマニュアル作成を推進すべく努力されておりますが、幾つかの避難所に合同マニュアルを作成したにとどまっており、現在のところマニュアル作成は進んでいないと伺っております。
 避難所運営においてマニュアル整備も大変必要なことではありますが、避難所をより円滑に運営していくためには、専門の知識を持った方が各避難所に1人でもいていただけることが大変心強いのではないでしょうか。避難所運営について有効な知識を得るには、防災士という資格があります。防災士とは、自助、共助、協働を原則とし、社会のさまざまな場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と知識、技能を有する人を言います。日本防災士機構が行う避難所運営訓練や避難経路確保の図上訓練を含む研修と試験を受け、さらに消防署等が主催する救急救命講習を経て認証される資格となっております。現在、全国で10万人が認証されており、東京は約9,000人が認証されております。防災士の資格は、自衛消防団に所属されている場合は半額助成がされているようですが、通常は2日間講習で約6万円が必要となっております。避難所をより円滑に運営していくため、各町会を中心に活躍される方々の防災士資格取得を推進すべく、災害時の避難所運営において活躍が期待できる防災士の取得費用の助成を行うべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 2点目は、新しい防災機器と水害対策について伺います。
 近年、地球温暖化による異常気象が世界中で発生しております。日本でも同様に、狙い撃ちしたかのように局地的に雨が降るようになっており、記録的な猛暑、記録的な集中豪雨、記録的な長雨など、記録的と形容される異常気象が続いております。
 集中豪雨による被害でいえば、26年8月には広島県で大規模な土砂災害が発生し、多くの方々のとうとい命が奪われ多数の家屋が崩壊いたしました。このときの雨量は1時間に100ミリを超える猛烈な雨が観測されております。また、27年9月には、台風18号と温帯低気圧による集中豪雨が発生し、栃木県や茨城県など北関東全域に記録的大雨が降り、茨城県常総市の堤防が決壊し、浸水域は約20平方キロメートルに及び、約6,500棟が浸水するなど、甚大な被害をもたらしております。栃木県では、3日間の雨量が500から600ミリに達した地点もあり、栃木県や茨城県、埼玉県、福島県の10地点以上で観測史上最多を更新しております。
 これら自然の猛威を目の当たりとしたとき、被災された方々への思いをはせるとともに、自分の住んでいる台東区が同様な猛威にさらされてしまったときに備え、対応策を講じておかなくてはと考えさせられました。台東区の場合、氾濫による洪水被害が想定される河川は荒川と神田川の2河川あり、荒川などの大河川は広い流域を形成しており、ひとたび氾濫した場合は、下流域にある台東区は甚大な被害を受けるおそれがあります。
 台東区が作成した洪水ハザードマップによれば、荒川流域で3日間の総雨量が548ミリを超えた場合、荒川で氾濫が起こり、最短6時間で台東区の北部が浸水、12時間でほぼ区内の3分の2が浸水するとなっております。また、最も深い浸水は5メートル程度で数日間続くとの想定がなされております。荒川の決壊要因となる3日間の総雨量548ミリはおおむね200年に1回起こる大雨との記載もなされております。さきにも述べましたが、鬼怒川の氾濫は、ウェザーニュース予報センターによれば、鬼怒川流域の日光市今市では、24時間の雨量が541ミリなど、鬼怒川の流域平均雨量は400ミリを超えており、これは国土交通省が想定した100年に1回の頻度で発生する可能性がある流域平均雨量、これはつまりは3日間で362ミリを超過したとのことでした。
 昨今の異常気象による集中豪雨を鑑みれば、荒川決壊は現実的な恐怖として捉え、対応を強化していかざるを得ない状況となってきております。区内で洪水が発生し、道路に水があふれてしまった場合、基本的に屋内にとどまることは大切ですが、その場所の安全性が不確かな場合などは移動しなくてはならない場合もあり得ます。人が歩ける水の深さは約50センチと言われており、50センチを超えると成人男性でも歩行が困難になり、危険が増大するそうです。ましてや子供や高齢者、病人などの移動手段としては防災ボートが有力な手段となります。
 現在、区は大洪水対策として4つのゴムボートを所有していると伺っておりますが、この備えで十分なのでしょうか。昨今では障害物からのダメージを吸収し、岩や倒壊した建物程度では破損しない耐久性があり、場所をとらない折り畳みボートなども開発されております。こういった災害時に、より威力を発揮できるすぐれた防災用具を積極的に取り入れていくべきと考えております。区民の関心が高まってきている大規模水害対策として、区が所有する4つのゴムボートのほかに、災害時に、より威力を発揮する実用性のすぐれたボートを追加整備するなど、水害に対する防災力をさらに向上させるべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 最後は、子供たちが安心してボール遊びができる場所の拡充についてお伺いいたします。ボール遊びにはさまざまな遊びがありますが、これら全てが子供たちの発育、発達を促進し、体力や体の基礎をつくる重要な意味合いがございます。具体的なボール遊びの効果としては、背中や肩甲骨の神経や筋肉を刺激し、よい姿勢に体を発達させることや、物を扱う際の力かげんを覚え、字や絵を描くのが上達すること、さらには物や相手の動きを予想し行動できるようになることなどが考えられます。ほかにもさまざまな効果が見込まれるボール遊びですが、私が小学校のときは町なかで当たり前のようにボール遊びをやっていた記憶がございます。ところが最近では、ボール遊びをしている姿を見かけなくなり、大変寂しい思いを今はしております。
 現在、台東区において公園内におけるボール遊びについては、多くの利用者とさまざまな利用形態がある中で、利用者全体の安全確保から、花川戸、東盛、玉姫、金杉、山伏、天王寺の6カ所の公園内に設けられたスポーツコーナーにおけるボール遊びと、幼児のゴム、ビニール製などのボールを使ったキャッチボール程度の遊びを除き、原則禁止となっております。公園でボール遊びができる場所をこれ以上ふやそうとしても、台東区の面積は23区中、一番小さく、区内公園の数も決して多くはございません。区立公園においてスポーツコーナーがある公園を条件にしている以上、さらなる公園においての拡充は難しいのではないかと考えております。子供たちが安心してボール遊びができる場の拡充については、私が区民の方々から大変多く伺う要望の一つとなっております。
 また、スポーツを楽しむ場所についての要望でいえば、子供がボール遊びができる場所の拡充だけではございません。大人も含めた球技、具体的には野球やサッカーについても、野球場、サッカー場が少なくて練習や試合ができないのでふやしていただきたいとの要望を多くいただいております。しかし、新たに野球場やサッカー場をすぐにつくるのは厳しいと思われますので、現行の荒川河川敷だけでなく、利便性がいい場所を借り上げることや提携先をふやすことによって、少しでも多くの場所を確保したり、上野の正岡子規記念球場や区外施設の利用料について助成して使いやすくするなどの改善策を検討していただきたいと切に望みます。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、区としてもこれを契機に区民のスポーツの奨励に向け、より一層取り組みを進めていくと思っております。子供の体力の増進のためにも、親子の触れ合いをふやす意味合いでも、身近でボール遊びができる場所の充実をしっかりと進めていっていただきたいと思っております。
 現在、実施している6つの公園では、地理的な偏在もあり、身近な場所でボール遊びができる環境としては十分ではありません。地理的な偏在をなくすためにも、ボール遊びができる場所として小・中学校の校庭を一部開放し、近隣の幼稚園児を含む子供たちが伸び伸びと遊べる場所を確保するべきだと考えております。小・中学校の校庭を一部開放し、ボール遊びができる場所とすることができれば、安心した場所で保護者同士がゆっくり話をできることでコミュニケーション強化につながるとも思っております。現状、新たなボール遊びの場所を公園などで新たに確保できないのならば、安心して安全な中で子供たちが伸び伸びとボール遊びができるよう、小・中学校の校庭を活用し対応すべきと考えておりますが、教育長の所見をお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 青鹿議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、公衆トイレの整備についてです。私も増加する来街者に対応するため、おもてなしの観点からトイレの整備は大変重要であり、非常によいご提案だと考えています。公衆トイレのハード整備については引き続き、さわやかトイレ整備方針に基づき設備の充実を図っていくとともに、新設も視野に入れて進めてまいります。さらに新たな需要に対応するためには既存の区有施設や民間施設のトイレを活用することも効果的であると考えております。そこで、公衆トイレ等の利用状況や民間施設における活用実態など、今年度実施した調査結果に基づき、トイレ活用の仕組みづくりやトイレネットワークの情報発信など、環境充実のための新たな施策を実施してまいります。
 ご質問の第2は、防災力の向上についてです。
 まず、防災士の資格取得の推進についてです。防災士は日本防災士機構が推進する民間の資格で、職員の資格取得や住民への助成制度を行っている自治体もあります。本区でも防災知識が深まることから、特別区合同の職員研修を活用し、職員の資格取得を進めております。本区では、これまで災害発生時には町会組織を主な活動単位として防災団への活動助成を初め、避難所単位防災訓練や防災指導者講習会等を実施し、地域の状況に応じた防災力の強化に努めてきました。防災士資格の取得に対する支援や活用につきましては、訓練の際のご意見なども伺いながら研究を進めてまいります。
 次に、水害対策についてです。現在、区では大規模水害発生時の活動用に救助用ボートを所有しております。関東・東北豪雨を初め、水害被災地の救出活動においてボートが活用される場面が見られます。しかし、ボートを使用した活動は特殊な技術が求められるなど、さまざまな課題があることから、浸水前の対策が重要であると考えております。現在、国や東京都、特別区全体で、広域的な観点から大規模水害時の避難のあり方について検討を進めており、事前の高台への避難など、多面的な対策の中で必要な資器材について検討してまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。

○議長(太田雅久 さん) 教育長。
(教育長和田人志さん登壇)

◎教育長(和田人志 さん) 青鹿議員の子供たちが安心してボール遊びができる場所の拡充についてのご質問にお答えさせていただきます。
 議員ご指摘のとおり、子供たちが安全に、かつ安心してボール遊びなどができる場所が少ないということは、教育委員会といたしましても認識しているところでございます。現在、教育委員会では、土曜日や日曜日に学校の校庭や体育館で子供たちがボール遊びできるよう検討しているところでございます。つきましては、平成28年度にモデル実施を行いたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。