冨永龍司

  1. 都市再開発について
  2. 義務教育について
     1.義務教育における重点施策について
     2.小中一貫教育について
  3. 幼小中施設における感染症対策について

◆18番(冨永龍司 さん) つなぐプロジェクトの冨永龍司です。今回は、会派を代表し、区長と教育長に2点伺いたいと思います。
 まず初めは、都市再開発についてお伺いいたします。
 今定例会の所信表明で、区長はまちづくり推進について触れられ、まちづくりについては、まちの将来像を描き、地域の課題を解決し、より効果的なまちづくりを進めることが求められているとの認識を示された上で、具体的には、上野・浅草・北部地域において、それぞれの地域に合ったまちづくりのための方策を検討していくと述べられています。現在においても、台東区には浅草寺の門前町として栄えた浅草や、寛永寺の門前町であり、多くの文化施設を有する上野を初めとし、そのほかにもそれぞれの特徴と魅力にあふれたまちが数多くあります。それぞれのまちがそれぞれの伝統、歴史、文化を守り、しっかりと継承をしながら、新しいものも調和させ、取り入れてきた結果として、23区の中で最も魅力的なまちが多い区となっていると私は思っております。しかし、さらなる区の発展を図っていくためには、23区で一番面積の小さい台東区において、地域によっては高度利用により有効的な土地活用を行ったり、密集住宅市街地では防災機能を強化するための再整備を実現するなど、区のさらなる機能性や居住性の向上、安心安全で魅力あるまちづくりを推し進めていかなくてはなりません。そのための手法の一つに都市再開発事業があります。
 例えば税金を使わず本庁舎の移転、建てかえを行い話題となった豊島区では、池袋駅東口近くにあった好立地の旧庁舎跡地と豊島公会堂跡地で進められている再開発プロジェクトを都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画に認定し、大規模オフィスや区ホールなどの文化施設、子育て支援施設、商業施設などを国際アート・カルチャー都市構想を掲げる区のシンボル施設として2020年までに整備するとしました。この施設の推定集客力は年間約650万人、経済波及効果は年間約270億円と見込んでいます。そのほかにも東京駅周辺や新宿駅、渋谷駅、品川新駅などでも着々とさまざまな都市再開発が進められていますが、残念ながら、我が台東区においては、近年においては、再開発の話は出るものの、中止になったり、なかなか進まないものもあり、ほとんど行われていないのが現状ではないでしょうか。私は、全てを新しくつくりかえればよいとは考えておりません。しかし、地域によっては、都市再開発を行っていくことは必要であり、再開発を実現するためには、区長のはっきりとした意思と大きな決断が必要なのではないかと思っております。
 現在、本区では、新しい都市計画マスタープランを作成中であります。本区の特徴と魅力をさらに生かし、高めながらも、現実に即したプランを策定していただき、その中で必要とあらば、都市再開発を行っていくべきです。そこで、区長に伺います。今後のまちづくりでは、それぞれの地域の事情に合った再開発が必要であり、本区の再開発について、区長のリーダーシップによる大きなかじ取りが求められていると考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 次に、義務教育について、2点、教育長に伺います。
 義務教育は、日本国憲法第26条第2項により、すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う、義務教育はこれを無償とすると規定されています。しばし勘違いされることを見受けますが、子供が受ける義務があるのではなく、保護者に受けさせる義務があるものです。義務教育は、1947年の学制改正により6歳から15歳までの9年間となり、さらに小学校6年間、中学校3年間となりました。それが今日まで続けられています。
 その義務教育は、おおむね国が定める学習指導要領に基づき行われておりますが、その学習指導要領も時代によって改訂が行われています。昭和36年に道徳の時間を新設、昭和46年には現代化カリキュラムと言われる濃密な学習指導要領へ改訂が行われましたが、教科書を消化することができないなどの問題が起こりました。その反動として、昭和55年にはゆとりカリキュラムに改訂。しかし、私学は行わなかったので、学力格差ができるなどの問題が起こりました。また、平成14年には中学校の英語が必修化され、総合的な学習の時間を新設し、生きる力の育成がなされ、生涯学習社会への移行が促進されました。さらに平成23年には、小学校5、6年生に外国語活動が入り、ゆとり教育による学力低下が問題となり、脱ゆとり教育が進められました。
 そして、今月の14日に文部科学省が、小学校が平成32年度、中学校が33年度に順次全面実施し、幼稚園は30年度より実施される新しい学習指導要領を公表いたしました。改訂案では、何を学ぶかが中心だった従来の指導要領を転換し、何ができるようになるかを明確にし、そのために何をどのように学ぶかを明確にしています。答えのない問題に挑む力をつけさせるとして、先生が一方的に教える形ではなく、討論やグループ活動を通じ、児童・生徒が主体的に進め、対話を通して深い学びへつなげるとし、また、グローバル化の対応から、小学校での歌やゲームなどを通じた外国語活動の開始を現行の小学校5年生から小学校3年生に早め、聞く・話すを中心に行い、小学校5年生からは教科書を使う正式な教科、外国語科に格上げされ、読む・書くを加えて授業時間を倍増させ、そして、3年生から6年生までの間に600から700程度の単語を習得するように目標を定めました。人工知能の発達などから情報活用力を重視し、コンピューターを動かすための指示を体験するプログラミング教育も必修化されました。中学校では、選挙年齢が18歳に引き下げられたのを受けて主権者教育の充実を求め、民主政治の維持と公正な世論の形成や国民の政治参加の関連について考察するとされました。
 このように、時代とともに改訂が行われている義務教育ですが、目的は国民が社会に出るために共通に求められる最低限の基盤づくりや資質の育成です。しかし、近年での課題として、学力の低下、教員の質の低下など学習面に関することだけではなく、いじめや不登校問題、保護者の価値観の多様性から家庭での家庭教育の低下も見られ、生活習慣を学ばせることも求められるようになってきております。さらに、貧困問題による学力格差や成長期に大切な栄養面での配慮など、学校に求められる課題が広がってきております。このようにさまざまな課題があるものの、子供たちが明るい未来へ進んでいくためにも、しっかりと義務教育を受けさせる環境を私たちはつくっていかなくてはならないと考えておりますが、本区の義務教育のさらなる充実を図ることについて、教育長の所見を伺います。
 最後に、義務教育における小中一貫教育について伺います。この義務教育にかかわる学校教育法等の一部を改正する法律が平成27年6月24日に公布され、平成28年4月1日から施行されました。この改正は、学校教育制度の多様化及び弾力化を推進するため、小中一貫教育を実施することを目的とする義務教育学校の制度を創設するもので、市区町村教育委員会などの判断で既存の小・中学校などを義務教育学校にできるようになりました。その義務教育学校では、前期課程の小学校段階と後期課程の中学校段階に分けられます。学校の形態は、前期課程と後期課程が同じ校舎にある施設一体型か、前期課程と後期課程などが別々の場所にある施設分離型の2タイプになります。ただ、施設分離型の場合でも一つの学校ですので、校長は1人だけとなり、別々に校長がいる小学校と中学校が一貫教育に近い取り組みをしたとしても、それは小中連携教育であり、小中一貫教育にはなりません。
 文部科学省の調べによりますと、現在小中一貫教育は、市区町村などが独自に行っており、全国の国公立において、2014年5月現在1,130件あるとのことです。義務教育学校においては、学年の区切りは9年間の一貫教育の学校となるので、現在の6・3制となっている小学校と中学校での区切りを自由に決められることになり、例えば5・4制や4・3・2制などの区切りもできることになります。
 今までの学年の区切りによる問題として、中1の壁が言われております。この中1の壁とは、小学校から中学校に進級すると、今までの生活ががらりと大きく変化します。その変化についていけず、さまざまな面において、とりわけ学習面において周りからおくれをとってしまうことを言います。その要因の一つとしては、1人の担任が全教科を教える小学校と違い、中学校は各教科ごとに先生がおり、各先生との合う、合わないなど、これが大きなつまずきとなるとも言われています。そのほかにも英語教育でのつまずき、小学校とのテストの違い、部活動などによる生活や体力面などの問題により起こるとされております。
 現在行われている小中一貫校での大きな成果は、さきに述べた1,130校に対して文部科学省で調査したところ、第1のメリットとして、中1の壁の解消に効果があるとされました。そのほかにも中学生の不登校の減少や学力調査などの平均正答率の上昇、児童・生徒の規範意識の向上、異年齢集団での活動による自尊感情の高まり、教職員の児童・生徒の理解力や指導方法の改善意欲の高まり等があるとされています。
 余談になりますが、私の息子は小中高一貫を提唱し、4・4・4制で校舎を分けている学校に中学校から入りました。ですから、中学校1年生という最年少学年ではなく7年生と言われ、校舎には小学校5、6年生と中学校1年生がおりましたので、小学校の児童がいる分、悪いことはできないなどと規範意識についてよく言っていたのを覚えております。その反面、デメリットとしては、子供たちの中の固定的な人間関係などが9年間そのまま続いてしまう可能性があり、ネガティブな方向に向かわないような配慮が今まで以上に必要になってくることや、そのほかにも教職員の免許の問題や指導法、転入生の問題などのデメリットが上げられております。
 法改正により小中一貫教育を実施することを目的とする義務教育学校の制度が確立した現在、台東区としてもしっかりとした検討を行うべきと考えます。そこで、教育長に伺います。本区として、小中一貫教育のメリット及びデメリットを検証すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、今後の小中一貫教育推進についての所見をあわせて教育長に伺います。
 以上で代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)
◎区長(服部征夫 さん) 冨永議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、都市再開発についてです。
 これまで本区は、東上野2丁目や御徒町駅西側の土地区画整理事業による街区の更新がありましたが、都心部のような大規模な再開発は行われておりません。今後のまちづくりにおいては、商業または業務用途等の誘導や防災性及び回遊性の向上を目的に、大きな街区における建物の更新も必要と考えます。各地区のまちづくりを推進していく上では、土地の高度利用や街並みの景観を生かした整備など、それぞれの地域特性に見合ったまちづくりの手法を検討してまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。
○議長(太田雅久 さん) 教育長。
(教育長矢下 薫さん登壇)
矢下薫 さん) 冨永議員の義務教育についてのご質問にお答えさせていただきます。
 まず、義務教育のさらなる充実についてでございます。学校は、子供たちの健全な成長を願い、これからの社会を生き抜くために必要な資質・能力を形成していく場でございます。そのため義務教育段階を通じて育むべき力を確実に身につけさせていくことが学校には期待されております。
学校教育では、子供たち一人一人に学力の基礎・基本を確実に身につけさせることに重点を置いた取り組みを行っているところでございます。また、学校におきましては、いじめ・不登校の問題や防災対策等、子供たちに安全で安心な教育の場を提供していくことも重要でございます。教育委員会といたしましては、個々の学校の状況をきめ細やかに捉え、指導の徹底を図っております。学校の教育力は、教員の資質・能力の向上にかかっていることは言うまでもありません。そのため教員の指導力向上と今後の学習指導要領改訂を見据え、教員研修や指導課による学校現場での指導・助言を充実させてまいります。
 また、本区におきましては、地域と学校が密接に連携していることもあり、教育活動の充実が図られております。今後もこのよさを生かし、地域に開かれた学校づくりをさらに推進してまいります。
 次に、小中一貫教育についてでございます。学校教育法等の一部を改正する法律が平成27年6月に公布され、今年度より施行されております。このことにより、現行の小・中学校に加え、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う義務教育学校が新たな学校の種類として規定され、学校教育制度の多様化及び弾力化の推進が図られると認識いたしております。
に関する実態調査によりますと、メリットとして、中学校への進学に不安を覚える児童の減少や中学校入学後の学校生活に不適応が生じる、いわゆる中1ギャップの緩和などの成果が示されております。一方、デメリットとして、小・中学校の教職員間での打ち合わせや研修時間の確保などの課題も報告されております。
 教育委員会といたしましては、今後も他区、先進校の動向を注視するとともに、メリット、デメリットも含め推進状況を把握し、研究を進めてまいります。

阿部光利

  1. 高齢者住宅問題について
  2. 観光施策について
     1.上野恩賜公園における観光公衆トイレ整備について
     2.循環バスめぐりんの停留所を観光の観点から判り易くすることについて

◆26番(阿部光利 さん) つなぐプロジェクトを代表いたしまして、私、阿部光利より大きく3問質問させていただきます。
 まず初めに、高齢者住宅についてお尋ねをいたします。
 過日、私の知人が台東区から他区に引っ越しをいたしました。その方は80歳で、賃貸マンションにひとり住まいだったのですが、マンションの更新を断られ、ほかに部屋を探していたのですが、結果、高齢という厚い壁に阻まれて、借りることができませんでした。そこでやむなく他区に引っ越しをされたわけですが、40年間住みなれた台東区から離れたくないと、最後の最後まで言っておられたそうでございます。
 最近、報道などでも頻繁に取り上げられている高齢を理由とした入居拒否問題、さまざまな理由で民間の賃貸住宅に引っ越そうとすると、高齢を口実に入居を拒まれてしまう。入居を拒む側は、高齢者は比較的収入が少ないので、家賃を支払えなくなる可能性がある。孤独死などが発生すると入居者募集に影響が出る。子供や親戚が既に亡くなってしまい、身寄りが少ない場合、連帯保証人が見つからないなどのことを理由としています。八方手を尽くして探すのですが、高齢者向けの住宅戸数が圧倒的に少ないこともあり、部屋探しは困難をきわめているのが実情です。
 その実態を踏まえ、我が国の高齢者向け住宅政策が転換を迎えています。それは、高齢者が入居できる賃貸住宅の絶対的な不足が指摘されてきたことに加え、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅を初めとする従来の高齢者向け住宅について、入居一時金の返還をめぐる金銭トラブルや制度の複雑さなどの問題が指摘されました。これに対し政府は、2011年10月に、サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住制度を創設し、高齢者人口の3ないし5%を目標に、供給をふやす方針を打ち出しています。
 サービス付き高齢者向け住宅の登録戸数は平成29年1月段階で全国21万2,172戸とふえています。しかし、地域的に濃淡があり、十分供給されているとは言えない状況であります。
 本区では、2棟136戸のサービス付き高齢者向け住宅があり、平成30年3月には1棟37戸の開設が見込まれております。
 お隣の文京区では、地価が高いということもあり、いまだに民間によるサービス付き高齢者向け住宅が建設されていない状況となっています。
 その文京区では、高齢者への全国初の助成制度となる文京区すまいる住宅登録事業を実施しています。これは、高齢者の入居を拒まない住宅を普及促進し、高齢者の住環境を向上させ、居住の安定化を図ることを目的としています。具体的には、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅のオーナーが区に登録し、その住宅に区があっせんする高齢者が入居すると、区から住宅オーナーに月額1万円の謝礼を支払います。さらに、エレベーターの設置や段差解消などのバリアフリー設備やペットと住める生きがいに配慮した工夫、住宅オーナーの負担で居室内の死亡事故保険に加入しているなど、高齢者への配慮がなされている場合には、謝礼をさらに加算して、月額最大2万円まで支払う制度となっています。その上、住宅オーナーが入居者の家賃の未納や残存家財の処分等で損失をこうむらないように、入居者に対して債務保証をしています。入居者に対しては、住みかえ費用及び2年間の差額家賃助成を行うほか、安否確認サービスやライフサポートアドバイザーによる生活指導などの無料提供を行うことで、住宅オーナーに安心感を持ってもらい、高齢者の居住の安定を図っています。入居を拒まれやすい高齢者への住宅提供とバリアフリー対応などの設備部分に対して助成する仕組みを構築した、まさにこれが全国初の取り組みとなっています。
 台東区では、高齢者向け居住支援策として、高齢者等家賃等債務保証制度と高齢者等住み替え居住支援制度の2事業を実施しています。債務保証制度は、保証人が見つからないために民間賃貸住宅に入居することが難しい高齢者世帯に対して、民間保証会社に支払う初回保証料の一部を助成し、高齢者世帯の居住の安定を図るのが目的ですが、平成28年度の実績を仄聞したところ、問い合わせ件数が15件に対し、申し込みが6件、結果、助成を受けたのは1件にとどまっております。
 もう一つの住み替え居住支援制度は、自己の都合や責任によらない理由により立ち退きを受けて、区内の民間賃貸住宅から区内の別の民間賃貸住宅に転居した高齢者世帯に住みなれた地域で住み続けられるように、支払った転居費用を助成するものですが、こちらも問い合わせが15件に対し、申請が3件、助成件数は1件となっています。
 シルバーピアに申し込みをし、惜しくも抽せんが外れた方々にもこの助成制度を説明したり、広報たいとうなどで周知に努めているようですが、残念ながらまだまだ周知には至っていないようで、冒頭の転居者に問い合わせをしたところ、助成制度の認識はありませんでした。高齢者住宅問題の解消に当たり実施されている事業であるだけに、一人でも多くの方々に直接この助成制度が周知されることを強く望んでおります。
 今後、大都市部を中心に、高齢者単身世帯や夫婦のみの世帯の増加が見込まれる中、高齢者の住まいの確保は喫緊の課題であり、そこで、高齢者の住まい確保に対する現状認識と現在施行している高齢者への住み替え居住支援制度及び債務保証制度の課題と方向性について、区長の所見をお伺いいたします。
 2問目は、服部区長の観光施策について、2点お尋ねをいたします。
 私は、早朝の上野公園が大好きであります。朝のラジオ体操、噴水広場付近での太極拳や盆踊り、東京都美術館付近では尺八や民謡の練習、上野公園は朝から文化の交差点の様相を呈しております。
 そんな上野公園で、最近欧米系の旅行者の早朝の散歩姿を頻繁に目にいたします。ジョギングをしたり、風景写真を撮ったり、見よう見まねでラジオ体操に興じたりと、その楽しみ方はさまざまなようであります。上野恩賜公園は国際人が集う、憩いの場所であることを実感いたします。
 ちなみに、アジアの公園トップ25というものが発表されておりますが、上野公園はアジアの中では14位、国内では5位にランクインされております。
 しかし、そんな中、朝、上野公園に集う方々から、きょうのどこどこのトイレは汚いよね、外国の方々に使っていただくには恥ずかしいから、きょうは使ってほしくないわよねなどといった話が聞こえてまいります。基本的には、上野公園のトイレは午後11時から午前5時まで立入禁止になっているので、汚れるはずはないのですが、現実としては使用されており、相当汚れているのも事実です。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック誘致以来、観光におもてなしの概念が定着してまいりました。台東区では、それよりも以前に観光客に対するもてなしの一環として、さわやかトイレ整備事業をスタートさせております。
と観光については、千葉県が先進的に進めており、ホームページ上で「ちばのおもてなしトイレ」というサイトも開設しております。また、観光公衆トイレという呼称で展開しており、観光客の皆さんに旅先で快適に利用していただける管理が行き届いた観光公衆トイレに関する情報をホームページ上で公開し、観光事業者向けにおもてなしの心が伝わる観光公衆トイレにするために配慮すべき点の紹介や、訪日外国人観光客向けに日本のトイレの使い方についての説明を掲載しています。さらに、千葉県は、今後、このサイトを通じて観光地のトイレ美化に対する意識向上を図り、より一層の魅力ある観光地づくりを目指しますと、まるで観光公衆トイレが観光の目玉の事業であるかのようにうたっています。
 台東区さわやかトイレ整備方針の中で、台東区の文化を最も身近に感じることができる施設として、トイレの重要性を再認識し、誇れる文化の一つとしてのトイレづくりを進めていくと明確にさわやかトイレ整備の方針を示しています。
 トイレは、まさにその国の民意が反映される場所の一つであります。上野恩賜公園の管理管轄は東京都であることは承知しておりますが、来街者には区別できる問題ではなく、むしろ台東区に来ているのだから台東区のトイレと解釈されている人がほとんどではないでしょうか。
 そこで強く感じることは、国立西洋美術館が世界遺産登録となった今、周辺にあるトイレはあのままでいいのだろうか。もっとふさわしいトイレにするべきなのではないかと。おもてなしの心がこもったトイレはできないだろうかと。
 区長の所信表明の中で、上野については、国際競争力強化に資する文化・観光の拠点となることを目指すと非常に力強く、かつ前向きな表明がございました。さらに、ことしの1月に、菅官房長官は上野「文化の杜」新構想推進会議に出席、その席上で、皆さんの努力で世界の観光客を引きつける魅力的な文化拠点に成長することを期待すると政府として取り組みを後押しする考えを示しました。これにより、上野公園の整備にますます弾みがついてまいりました。
 そこで、上野駅公園口周辺整備によって新たなメーンストリートに生まれ変わる国立西洋美術館周辺のトイレを、今だからこそ、世界から注目される観光地にふさわしいトイレとして整備するよう都に働きかけるべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 続いては、観光の観点から、循環バスめぐりんについてお尋ねをいたします。
 めぐりんは、区民の交通の利便性を図る目的を持って、北めぐりんの路線よりスタートいたしました。その後、南めぐりん、東西めぐりん、ぐるーりめぐりんと路線の拡張を続けてまいりました。また、東西めぐりん新設の際には、上野、浅草の観光地だけではなく、もっともっと区内を散策いただく目的で、観光の概念も加えられました。最近では、おかげさまで多くのメディアで台東区の便利な観光の足として紹介いただき、メディアの後押しもあり、観光客の方々にもご利用いただけるようになりました。
 しかし、観光客を初めとする利用者から、表示がわかりづらいとのご指摘と苦情を頂戴しております。幾つかわかりづらい箇所がありますが、例えて申しますと、都バスに下谷三丁目の停留所があります。同じ場所に北めぐりん、ぐるーりめぐりんの停留所があります。その表示は金杉区民館下谷分館入口となっております。実は、めぐりんにも下谷三丁目のバス停がありますが、全く別の場所に所在をしております。これは、めぐりん開設の際に、都バスと差別化を図るために意図的に名前を変えて、象徴的でわかりやすい建物や名跡などの名前にしたほうがよいとの考え方があったと聞き及んでおります。それであれば、めぐりんの下谷三丁目は、三島神社前とかにしたほうがわかりやすかったのかもしれません。
 あくまでも例として下谷三丁目を引き合いに出しましたが、めぐりんは、初めは1路線だったものが、継ぎ足しで路線の増加を図ってまいりました。その中で名称の整備がなされないまま路線の拡張をした結果なのか、非常にわかりづらい、観光客にとって混乱を来す要因となっているようであります。
や浅草といった従来からの観光スポットだけでなく、来街者の行動範囲は広がり始めていますが、さらに、区として、区内全域が観光スポットとなるような施策をさらに推進していかなければなりません。区内全体に来街者の行動範囲を拡大しようとするなら、そのための移動手段としてめぐりんの役割が今後さらに重要となってくるのではないでしょうか。ぐるーりめぐりんも開通し、めぐりんの使い勝手がよくなった今だからこそ、区民だけでなく、観光の観点からも、将来を見越して来街者にも利用しやすい環境整備を行うべきではないかと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
 最後に、社会教育館について、教育長の所見をお伺いいたします。
 この第1回定例会で、台東区の29年度の予算案が提出されました。その中で、区の財政状況について、区有施設の維持保全への対応など、さまざまな行政需要が増加傾向にあり、予断を許さない状況であると認識を示しております。事実、投資的経費がふえており、本年度は104億7,000万円を計上しております。これは、2年前の27年度の2倍弱に伸びており、全体の10.6%の構成比となっております。公共施設の改修や補修は区民サービスの根幹であり、今後、穏やかな人口の増加が見込まれている本区においては、なし得なければならない課題の一つであると考えます。
 そもそも社会教育館は、家庭や学校以外で、児童、青年、成人、高齢者に至るまで、全ての年齢の人が学習や研修などを通して楽しむ機会を提供される生涯学習のための施設であります。本区でも多くの方々に利用いただいており、平成27年度は社会教育センターを含めた5施設合計で約12万人にご利用いただきました。
 しかしながら、昭和40年代に開設した施設だけに、老朽化が目立ち、リニューアルを望む声や利用形態の利便性の向上を要望する声などが聞こえてまいります。
 開設当初は集団就職で上京した方々が町工場などで仕事の後に社会教育館の和室の部屋で花嫁修業などの習い事やお華や針修業、時には勉強会を開いている姿を台東区アーカイブ映像で拝見いたしましたが、まさにそのままの雰囲気で今も活用されております。
 平成27年度台東区民の意識調査の中で生涯学習の場所や形態についての記載がありますが、それによりますと、今は自宅や図書館などで学習しているが、今後は社会教育館、区役所の講座や教室で学びたいと答えた人が19.4%と一番多い回答となっています。この上位の回答からも、潜在的な需要の高さをうかがい知ることができます。
 さらに、生涯学習内容も現在やっていることと将来的な希望に多少の乖離があり、利用者の増加を視野に入れて考えると、もう少し区民ニーズに即した変化が必要であると考えます。
 伝統芸能である太鼓の練習場所やヒップホップダンススタジオなどの要望も耳にいたしますが、人口の増加や区民ニーズの変化などを考えると、社会教育館のあり方も新たな時代を迎える時期に来ているように感じます。
 社会教育館がこれからも多くの区民が学び、楽しみ、交流していく場であり続けるためにも、柔軟な発想で時代の変化に合わせた、より利用しやすい施設へと変えていくべきであると考えますが、今後どのようにしていくのか、教育長の答弁を求めます。
 つなぐプロジェクトを代表いたしまして、私、阿部光利より以上3点質問させていただきました。区長並びに教育長の答弁を求めます。よろしくお願いいたします。まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(太田雅久 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 区長。
(区長服部征夫さん登壇)
◎区長(服部征夫 さん) 阿部議員のご質問にお答えいたします。
 ご質問の第1は、高齢者の住宅についてです。
 高齢者の多様なニーズを踏まえ、住みなれた地域で継続して暮らしていけるようにすることは重要であると認識をしております。
 本区では、阿部議員ご指摘のように、転居費用を助成する高齢者等住み替え居住支援制度や入居を支援する高齢者等家賃等債務保証制度などにより、住まいの確保に取り組んでおりますが、さらなる周知を図ることが課題と考えております。
 そのため、今後ともさまざまな機会を捉え、区民の皆様への周知に努めるとともに、東京都宅地建物取引業協会台東区支部や台東区民生委員・児童委員協議会等との連携を一層密にし、高齢者の住まいの確保に取り組んでまいります。
 ご質問の第2は、観光施策についてです。
 まず、上野公園にある公衆トイレ整備についてです。
 私も観光地にふさわしいトイレの整備は大変重要であると認識をしております。本区においても、来年度から実施するスマートフォンによるトイレの位置情報案内に上野公園内の情報を掲載するなど、利用環境の充実を図ってまいります。
 阿部議員ご提案の国立西洋美術館周辺のトイレについては、今後の上野公園整備において美化を推進していくよう、管理者である東京都に申し入れてまいります。
 次に、めぐりんの停留所の名称についてです。
 停留所の名称は、その場所が地理的にイメージできるよう、公共施設を初め、名所・旧跡や地名などを活用し、設定しております。
 なお、めぐりんの運行につきましては、現在、利用実態やアンケートによる調査を実施しており、今後、さまざまな観点から見直しに向け検討を進めてまいります。この見直しの中で、停留所の名称につきましても、区民や観光客の皆様にとってよりわかりやすくなるよう、あわせて検討してまいります。
他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。
○議長(太田雅久 さん) 教育長。
(教育長矢下 薫さん登壇)
◎教育長(矢下薫 さん) 阿部議員の社会教育館についてのご質問にお答えさせていただきます。
 本区では、区民の生涯学習推進のため、社会教育活動団体等の活動の場として社会教育館や社会教育センターなどを設置しております。台東区民の意識調査では、生涯学習に取り組む区民の割合が平成23年度は約50%でしたが、平成27年度には約75%に増加するなど、生涯学習に対する区民の意識も高くなっており、社会教育館の果たす役割も重要になっております。
 教育委員会といたしましては、今後、施設の改修を計画的に進めるとともに、より柔軟な利用方法を検討するなど、個人や団体の多様な学習ニーズに対応する取り組みを通して、つながりと交流の場としても利用できるよう取り組んでまいります。